投稿者: ソラノムコウ

【蕎麦】自家製蕎麦ソバビリーの温肉南蛮

日曜日。

ふと思い立ち名取市へ赴いた。

なんでもお爺さんが経営する食堂があり、値段が本当に安いらしい。

このご時世普通のラーメンでもワンコインでは食べられない。それなのに半チャンラーメンで600円という価格崩壊だ。それに昔ながらの中華そばを求めてしまうのも年のせいだろう。

遠路遥々やって来ました。中華そばを食べたいがためにここまでやってくるとは我ながら変態の極みである。

その店はここから少し歩いた場所にある。

『玉喜ラーメン』さんです。

このレトロな雰囲気はただならぬものを感じますね!!

さて…

日曜は休みのようですッッッ!!

オーマイガー…途方に暮れた。

腹を減らしたままトボトボと駅に戻ります…ここまで来たのに…運がないというか…まぁ、いつものことだろう。

この近くに食べるところは…あの店に行こう!!

と向かったのが

『自家製蕎麦ソバビリー』さんです!

あの言わずと知れたG系インスパイヤの先駆けラーメン☆ビリーの系列店。

まず店に入るとすぐに手指の消毒をし、奥のレジに向かってオーダーします。種類は多くないのであまり悩まずに温肉南蛮を注文。

呼び出し器を預かり席で待ちます。

腹減ったなぁ~…。

あまり混雑はしてませんでしたが結構待ちますね…空腹時の時間の流れというものはどうしてこんなに長く感じるのか…。

と呼び出し音が鳴りホップステップジャンプで提供口へ。

グッヘッヘッと盆を抱えて猫背になりながら席へ戻る。

おお!大迫力なビジュアル!田舎そば真っ青な極太そば!!そばというよりもうどんだこりゃあ!

出汁はかなり濃厚な味わい!ちょっと塩分の角が立ってて出汁の風味とも言い難いが悪くはない。結構ショッパ系かな。好き嫌いがはっきり分かれる味だと思います。

蕎麦はかなり太い!!いや、これは本家ビリーのラーメンよりも太いぞ!

丸亀製麺のうどんに匹敵する太さ。

まずは一本…ズルル。

モニュモニュ…。

うん、蕎麦の喉ごしは全く楽しめませんね。まぁ、太いから喉ごし云々は的外れだ。

食感はなるほど蕎麦だ。固さはさほどでもなくモチモチというわけでもない。若干の粉っぽさを残し噛めば蕎麦の香りを楽しむことが出来る…と思ったがさほど香りはない。

濃い目の出汁に負けてしまってる感は否めず…だがそれ以上に蕎麦の太さが際立ち腹ペコには大満足だ。とにかくたくさん食べたい人向け。

細く長いのが蕎麦だがこちらの蕎麦は太く短い。豪放磊落な人生を謳歌するが如くがっついて食うのだ。

まるで私のようだ!と思ったが私は細く短く白い白石温麺のような人生なので鼻からため息を放出した。

大きめにカットされたネギが嬉しいね。これも甘くて美味しい。普段は脇役に徹するネギだがここでは主役に抜擢されてもおかしくない存在感だ。ネギだけが際立って美味い!!ネギだけが美味すぎる!!

肉はビリーにしては小ぶりで普通な感じ。甘く味付けされてて出汁との相性はとても良い。でも肉盛りというほど量は多くなくて少し残念な感じ。

最後の一口まで楽しめた。正直、蕎麦通を唸らせるほどかというとどうかはわからないが近所にあったら通いたくなるような味でした。

しかしありそうでなかった極太の蕎麦を提供してくれるなんてさすがはビリーだなと思いました。全く新しいコンセプトの蕎麦が爆誕したわけですね。

ごちそうさま!また来ようっと♪

【エッセイ】どんと祭の唄

どんと祭とは?

宮城県には『どんと祭』という神事がある。

これは正月にやってきた年神様を御神火を焚いてお見送りをするためである。正月飾りを神社に持ち寄りお焚き上げし一年の無病息災を願うというものだ。

私はてっきり全国で行われているものだとばっかり思っていたが、実はどんと祭というものはかなりローカルな地域でしか行われていなかったらしい。

どんと祭を盛り上げる秘策!それは!?

小学生の頃に『こども会』というものがあり、クリスマスの行事に参加していた。

集会所の傍らで大人達がどんと祭について話し合っていた。

「来年なんだがどんと祭盛り上げる方法ねぇが?」と地区長が神妙な面持ちで訊く。

皆は柿ピーをボリボリ食べながら「そうねぇ…」と呟いた。

どんと祭は夕方に火を点けるのだが大体はその日の午前中に正月飾りの山が形成され消防団員は火を放ち遅くまで火の番をするのだ。


一番の盛り上りを見せるのが『裸参り』というもので男達が褌一丁で火の周りを周回するというものだったがそれに勝る催しをしたいと考えているようだった。

そもそもどんと祭など一年に一回しかない。

いっそ牛や豚を一頭買い付けて、どんと祭の火で肉を焼いて食ったらいかがなものかと思ったが、年神様を送り出す神聖な火で肉を焼くなど罰あたりもいいところだから発言するのは差し控えた。

誰も言葉を発せずに柿ピーを咀嚼する音だけが部屋に響き異様な緊張感に包まれていた。

まるでこれからどこかに討ち入りに行くのではないかという雰囲気ではあったが、どんと祭をいかにして盛り上げるかという実にどうでもいい会議である。

それよりはどうしたら早く正月飾りを燃やし尽くし早く家に帰れるかを議論した方が建設的と言える。

正月くらい家でのんびりしたいものだ。

誰もが視線を泳がせ、この不毛な会議を打ち切らせないかとやきもきしていたら颯爽と手を挙げる者がいた。

地区長の息子ナオキである。

「ん?どすた?」とおじさんが訊くと地区長の息子ナオキはまるでナイフが的中した黒ひげ危機一髪のようにピョイッと立ち上がった。
そして、やけに通る声でこう言い放ったのだ。

「歌を歌ったらいいと思います!」

この発言に大人達は目を丸くて池を泳ぐ鯉のように口をパクパクしている。何か言いたげだが言葉が出てこないといった様子だ。

「ほう、歌か?」
地区長の言葉に地区長の息子ナオキは力強く頷いた。
すると一斉に「おおお!」という歓喜の声が上がったが、ただ単に面倒くさくなり早く切り上げ帰りたくなったに違いない。

「で、何を歌うのや?」と訪ねられると地区長の息子ナオキは小さな紙をポケットから出した。小さなポケットに入れるためか入念に畳んでおり広げるのに手間取っている。

そこから手品でも披露して鳩を飛ばすのかと思いきや勢いよく広げた際に折り目からバリッと破け地区長の息子ナオキは「あ…」と呟いた。

「ぼくが作曲してきました!」とこれまたよく通る声で言い放ったのだ。どうやらあの紙に歌詞を拵(こしら)えてきたらしい。

これには大人達も感心せざるをえない様子でお互いに顔を見ては養鶏場の鶏が餌をついばむがごとく頷きあっていた。

「じゃ、歌ってけねか?」と言われると地区長の息子ナオキは周りを見渡し息を吸う。

誰かの喉がゴクッと鳴った。

誰もが柿ピーを食べるのを止め地区長の息子ナオキに注目していた。

そして大きく息を吸うと床に足を叩きつけリズムをとり始めたのだった。

~どんと祭の唄~

作詞作曲:地区長の息子ナオキ

どんとどんとどんとどんとどんとどんと
どんとどんとどんとどんとどんとどんと

(太鼓のリズムのように)

どんとサァーイ♪
どんとサァーイ♪

どんとどんとどんとどんとどんとどんと
どんとどんとどんとどんとどんとどんと

どんとサァーイ♪
どんとサァーイ♪

「終わります!」とよく通る声で宣言すると大人達は我に返りまばらな拍手をした。

地区長は耳が真っ赤で酒が回ったのかチンパンジーのようになっている。

「グォッフォン!ヴェッヴォッ!ええ~…まぁ…いい歌だってけどや…また別な機会に考えっぺ!」と地区長は両手をシャンと叩くと一斉に柿ピーの袋を開ける音が広がった。

こうしてどんと祭は例年通り粛々と行われ、地区長の息子ナオキのどんと祭の唄は披露されることはなかった。

あれから地区長の息子ナオキのどんと祭の唄は披露されることはなかったが、誰もが心の中に残りどんと祭のたびに口ずさむようになったとかならないとか。

【スイーツ】道の駅上品の郷のミックスソフトクリーム

とある日に上品の郷でソフトクリームを食べた話。

 

支那そばや石巻で美味しいラーメンを食べたあとはそのまま北上して河北町へと行きます。

道の駅『上品の郷』です。

上品と書いて『じょうぼん』と読みます。

上品の郷は個人的にお気に入りの道の駅でかつては併設されているレストラン栞でランチバイキングを楽しんだものです。

キャラメルプリン食べ放題!でした。他にも一杯あるんですけどそれが一番好きでした!!

それがにっくきコロナウイルスの影響で無くなりましたが刷新したフードコーナーはなかなか賑わっています。

こちらの道の駅には温泉が併設されているされており県内では珍しい鉄泉となっています。

新鮮なお湯は透明ですが酸化が進むと茶色に変化しますのでその日によって色が違います。使ったタオルはきちんと洗わないと翌日錆びだらけになります。

入浴料は平日550円でかなり安い。休日は750円です。

私の経験上温泉施設は1000円でもいいと思ってる。あまり安いと民度が低くなりますので…。洗面所の場所取りやトイレから浴槽へのダイナミック入浴!など。

でも本当は体を洗う前に一旦入浴してから洗った方がお肌にはよろしいとか。冬にはヒートショックなどもあるので頭や体をシャワーで流してから入りたいものですね。

無料休憩所でのんびり人の流れを眺めて休日気分を味わいます。ここ最近こういう流れで休日は心の中を空っぽにしてしまいます。

いろんな人がいるなぁ~こんなに人がたくさんいるのに自分の人生に関わる人は皆無なんだよなぁ…。不思議だよね。

 

私自身コミュ障ですし…いなくなった時の喪失感がとても辛いので避けてる部分もあります。

併設されているコンビニで肉まんと缶コーヒーを買いましておやつを堪能…って30分くらい前にラーメンを食べたばかりなのに…!

こんなんじゃいつまでも経っても痩せれない!

このままボンレスハムかドラム缶になっちまう!

頭は空っぽなのに腹は満タンです。

そしてメインのソフトクリームはフードコートの奥にあります。券売機で購入。

350円払っておばちゃんに渡します。

んん…正直に言うと私の方が捻り方が上手いと思うな。すたみな太郎で高さ約40センチのソフトクリームを作ったことがある。

チョコミックスです。こちらのソフトクリームはひじょ~うに美味しいですっ!!滑らかな舌触りと濃コクな味わいがたまりません。一緒に舌まで溶けて無くなりそうです。

そうしたら余計なことまで喋らずに済みそうです。口は災いのもとと言います。

たった1日しかない休みを十分に堪能し一週間のエネルギーを補充しました。

【孤独飯】レストランカープルのハンバーグ

世間はあと少しでクリスマスだという頃のお話。

私は日々の労働を終えて空きっ腹で帰路についていた。

なんとなくラーメンという気分ではない。例年クリスマスには一人でラーメン☆ビリーでラーメンを食べているのだ。

鼻息荒くして背中丸めて極太麺を啜っていると脳内ではかぐや姫の神田川か赤ちょうちんが再生されているものだ。

クリスマスも近い。ここは一つシャレオツなお店にするかと車を走らせた。

向かったのは南中山である。泉の長命ケ丘から愛の鐘通りを走り抜けた先にある。

レストランカープル』さんです。

むっちゃオサレな建物なのですぐにわかります。しかし、駐車場は狭いので要注意です。

ちょっとおじさんが一人で来るにはハードルが高いお店かもしれませんね。

店内もめっちゃオサレ…。お一人様ですと人差し指を立てるのが恥ずかしくなりますがマスクが透けて見えるくらいの笑顔で出迎えていただき安心しました。

席に座り周りを見ると家族連れやカップルが…隅のテーブルに一人でポツンと座っていると私の席だけネカフェな感じですね。さて、オーダーは…『ミラノ風ハンバーグセット』にしました。

注文し終えるとドッと疲れが溢れでてきました。浦島太郎みたいに老けていくのがわかる。

ぼんやりとしてるとあっという間に配膳されました。

おお、これがミラノ風ハンバーグ!!

めっちゃ笑顔のポテトがいい感じですね!では早速いただきます!

お!!ハンバーグがフワッフワ!こんな感じなのは初めてだ。おからみたいな柔らかさ。

口に含むとフワッと広がる肉の旨味とソースの濃く深い味わい。

歯が無くても食べられる柔らかさ…お、美味しい!ポテトもいい感じに香ばしくて美味しい。

この不思議な食感のハンバーグはここだけだと思う。とにかく柔らかくて口当たりが優しい。豆腐に匹敵する柔らかさ。

これは他のメニューも気になりますぞ。

お店の雰囲気もなんとなく家庭的で温かい。とても安心する空間。

お一人様なのでここは素早く食べてサッサッと退店。またいつかゆっくりと味わいたいものですね。今度は誰かを連れて……

行けるのか?

南中山ということで若干アクセスしにくい場所ではありますがここにしかないハンバーグがあります。とても良いお店なので足を運んでみてはいかがだろうか?

【仙台】作並定義さんの定義豆腐店の三角油揚げ

とある日。

なんとなく頭の中に過る思いがあった。

ー油揚げが食べたい!!

宮城県民なら誰もが思うのではないだろうか?

大倉ダムの脇を走り山を超えて行くと西方寺というお寺があり、そこの仲見世通りにあるのが

『定義(じょうげ)豆腐店』である。

仙台のソウルフードと言えば『ひょうたん揚げ』とこの『三角油揚げ』である。

このドでかい三角油揚げがたまらないっ!!揚げたてサクサクジュワっといただきます!!

備え付けの七味唐辛子と専用かけ醤油をたっぷりかけていただきます。一応お土産用の三角油揚げがあるのですが、この専用かけ醤油じゃないと本来の味がしません。この油げ専用に作られた醤油はどれほど長い時間をかけて研究してきたのかわかりませんが完璧な味わいなんです!

周りはサクサクアツアツで不用意に噛みつくと上顎火傷しますよ。

近くには自販機があるのですが…ほぼ選択肢がありません…もう選ばせない!って感じ。

もう一つの名物はこの『やきめし』です。

味噌とニンニクが塗られてまして、焼くとまた香ばしくてたまらないんですよ。

日曜祝日となると結構な賑わいでしてたくさんの人が訪れます。こんな山奥に…。

腹を満たしたらついでに参拝していきます。

この定義如来にはある謂れがありまして…

お参りすると一生に一度願い事が叶うそうです!

ちょっと待てよ…私は何度も参拝してるけど願い事をとても下らないことに使ったんじゃ……。

私『あー…ラーメン食いてぇ』

仏『叶えてしんぜよう』

私『ラーメンうめぇ!!』

ってな感じではないだろうか??

そういう意味では一生に一度の願い事ってなんだろうねぇ?

こちらが本堂ですね。とても立派です。

この雪を見てわかる通り、豪雪地帯です。仙台に雪は無くともこちらはどっさり…奥羽山脈を背負っているので当然と言えば当然。

こちらには立派な五重の塔があります。雪が似合うね~。なんか日本!!って感じがする。

定義さんと呼称され仙台市民からも愛されているパワースポットです。

ちょっとした旅行気分を味わうには丁度良い距離なので美味しい油揚げを食べて温泉地である作並や秋保でゆったりと温泉に浸かり英気を養うのが定番コースとなっているようです。

宮城にはまだ見つけていない浪漫がありますのだ!!

【怪談】気付かれた

「こんにちはーっ!」
「こんにちは。」

 山にハイキングに来ると先輩は陽気に挨拶をする。そして、こう言った。
「山ですれ違う人には元気に挨拶をしとくんだ。そうする事で印象強くして万が一遭難した時に発見されやすいんだ。」
 なるほど一理あるなと思ったが最初から遭難する事を前提にしてるのかと思うと多少戸惑う所はあった。しかし、装備が十分であっても相手は自然だからどんなプロでも些細な事で遭難する事もある。
 こんな趣味で低い山に登るにも気を引き締めなければならなかった。

「あれ?こんなルートあったかなぁ?」
 先輩がふと足を止めたのは分岐点。獣道のようなルートがある。
 その先には
『入るな!危険!』
と書かれていた。

「こっち行ってみようか?」
 先輩が意気揚々と歩き出す。さっきまで遭難云々言ってあた人が危険と書かれたルートを選ぶなんてと呆れてしまった。
「先輩!入るな危険って書いてありますよ!ルートを外れてたりしたら遭難した時に見つけられなくなりますよ!」
 そう言うと先輩は獣道の先を見る。
「ん~…どんな風に危険なのか知りたいじゃん!もしかすると誰かの落書きかもしれないし、行ってみる価値はあると思うよ!」
「でも……」
 何となく嫌な感じがして行きたくなかった。ルートが危険なのではなく熊が出るとかじゃないのかと思ったからだ。
「迷わず行けよ!行けばわかるさ!」
と先輩は歩き出す。本当に好奇心に駆られている。不安に思いながらも仕方なく後ろをついて行く。先輩に何かあったら大変だからだ。

 特にルート的には足場も悪くなく平坦な道が続く。入口は獣道だったが中程まで来ると結構整備はされていたようだ。
「お!これは穴場かもしれないよ!もしかすると秘密の松茸スポットがあったりして…。」
 先輩がウヒヒと笑いながら歩いていくと道の先から人影が見えた。

「誰か来ましたよ…」
 それは女の人で白いワンピースを着ていた。とても山登りするような服装じゃなかった。
「ほら、やっぱりこの先に何かあるんだよ!こんにちはーっ!!」
 先輩が挨拶をしても女性は見向きもせず、俯きながらヨタヨタと歩いてくる。
「こんにち…」
 先輩が再び挨拶しようとしたら固まった。女性は靴を履いておらず裸足だったからだ。それは明らかに異様な姿だったと思う。先輩もそれに気付いたのかこっちを見て青ざめていた。

「今の人…おかしいよな?」
「うん。なんでこんな山の中で靴も履かないで…」
 そう言って振り向いたら女性の姿が忽然と消えていた。これはヤバイと直感した。
「ヤバイよ…気付かれたかもしれない…」 
 私がそう言うと先輩は唇を震わせながら無言で頷く。
 あれは見えてはいけないモノだったのだ。いや、見えていたとしても決して反応してはいけないのだと。

 ジャリと音がしたと思うとまた道の先からさっきの女性が歩いてくる。後ろに消えていったのにまた前からヨタヨタと歩いてくる。

 山で出会うのは必ずしも『生きてる人間』だけではないんだと思った。

【石巻】北上運河と旧北上川

宮城県石巻市。

西の横綱が仙台市なら東の横綱は石巻市だ。

石巻は海に面した土地で地形的にも実にユニークだ。東北一の河川『北上川』が通っているので市内を小さな川がいくつか縦断している。

昔から運河として活躍したのが北上運河だ。

↓今回の場所はこちら!

Google Earthより

かなり広域な地図になりますが…。本当はGoogleマップなどを埋め込めばいい話なんですが…実はまだシステム面の整備が進んでなくてはめ込めませんでした…。

目の前は旧北上川。その奥に見えるのが上品山(じょうぼんさん)ですね。

なぜかこの場所に来ると心のパワーが補充される私的パワースポットです。

旧北上川の穏やかな流れと水鳥を眺めては心を落ち着かせます。缶コーヒーを傾けてね。

缶コーヒーってめちゃくそ不味いのにシチュエーションを彩ってくれるというか、その場を意味あるものにしてしまうよねぇ。

こうして缶コーヒーを飲んでるとしみじみと思うわけさ。

おっさんになったなぁって。

川に沿って歩道が整備されています。ウォーキングやランニングなどに最適です。

ここは走ったことはないけど元気に体が回復したら全力で走りたいなぁ。

これは旧北上川交流館。今は改装に伴って閉鎖中?

まぁ特に開いてたって何かあるわけじゃないけど…なんか写真か何か展示されていたんだっけ…?

この場所だと喫茶店とかなら案外いけそうな気がする。緩やかな川の流れを見ながら…。

まぁ、喫茶店なんて儲からなくて趣味みたいなもんだけどなぁ。大変な割に儲からないのが飲食店の辛み…。

私はなんの努力もしなくてただお金を出すだけでとにかく美味しいものを食べることが出来る。それが働く気力にもなっている。

食材を生産する人、それを運ぶ人、卓越した技術と知識と経験を基に調理してくれる人。全ての人の努力の結晶を私はお金を出すだけで食べることが出来て幸せになれる。

無論、犠牲になった命にも感謝します。命を繋ぐためには命を食べなければなりません。

その命のためにもくだらない人生にしてはいけないと思っている。

ほら、川沿いでのんびりしてるとこんな感じで一人であれこれ考えてしまう。

交流館の上は歩けるようになっていて小高くなっています。

絶景という程ではありませんが石巻はほぼ平らな土地なので結構遠くまで見渡せます。

なんかこうして見てると平和だなって思う。

北上運河にはたくさんの水鳥がいました。

運河沿いにはお洒落な喫茶店もあります。この界隈の雰囲気が好き。

わずかな時間ですが気持ちを落ち着かせました。

なんてことない川の風景でしたが自然に少し触れるだけで人間本来の生きる力を呼び覚ます効果があるのではないかと思ってます。

【食レポ】お持ち帰り処丼助新境町店の海鮮丼とイカ盛り丼!

世間的にはどんと祭。

地域によってはどんと焼きとも言う。宮城県ではあちらこちらの神社で行われている恒例行事だが私は全国的に行われているものだと思っていた。

正月飾りなどを神社で焼き払い、その煙を浴びると無病息災で一年過ごせるというものだ。

私も毎年どんと祭に行っては屋台で出してる甘酒を飲みながら焚き火にあたる。

我が町では焚き火が一切禁止されており、違反し見つかった際には罰金10万円を課せられるのだ。

なので生の火を見れるのはどんと祭ならではの醍醐味だ。そして裸参りが行われ褌締めた男達が焚き火の周りをグルグルと回るというダイナミックな競技が行われる。

だが今年は昨年に引き続きコロナ禍なのでかなり縮小した形で開催され人も集まらずに終わろうとしていた。

私は人集りを避けるために夕食はテイクアウトにしようと心に決めていた。

数日前に偶然グーグルマップで見つけた石巻市のテイクアウト専門のお店の

お持ち帰り処丼助新境町店』である。

もとは渡波地区にあるのだがその二号店として新境町にオープンしたのだった。

寿司屋が始めた海鮮丼屋ということで大いに期待が高まる。

蛇田を走り抜け国道45号線に合流、ファミリーレストランデリシャスの前を走り…おお、やはりお客さん入ってる!!相変わらずの人気ぶり。

ミニストップの交差点を右折して右側にある。ちょっと、照明が暗くて見落としてしまいそうだ。

お店に入ると爽やかな青年が応対してくれる。

予め注文は決めていたので

『海鮮丼とイカ盛り丼』を注文。

オーダーしてから5分足らずで提供された。めちゃくちゃ早い!!先客がいなかったとはいえ想定外な早さ!!

椅子に座った瞬間に起き上がり小法師のように立ち上がった。

帰りは高規格道路を走り急いで帰宅。

おお!!540円とは思えないクオリティー!!イカ盛りの方はご飯特盛です。

どんと祭の日にこういう海鮮丼が食べられるとは…いい時代になったものだ。寿司屋クオリティーな海鮮丼だ。

古来より寿司はお祝い事で食べられていたことで元の名前である『酢し』があて字によって『寿司』になったという。

寿を司るなんてなかなか粋なネーミングセンスじゃないか。

私がその時代に生まれていたら『刺身乗せご飯』としか思いつかないだろう。

最初にこの名を考えた人はご存じないがどんと祭ついでに裸参りで讃えるべきではないかと思う。

これが540円である。テイクアウトならではの低価格!

ネタは結構新鮮。ご飯も結構ボリュームある。マグロ、サーモン、イカ、イクラ、コハダ、ホタテ、甘エビ、ネギトロ、ガリ、ワサビで540円!!

これを観光地で食べたら1500~2000円くらいはすると思う!

でも別に観光地がボリ過ぎということではない。あれには調理する人、配膳する人、片付ける人、食器を洗う人など全ての人件費がかかっているのだ。妥当な価格なのだ。

それをテイクアウトにすることにより、人件費を削減し実現している安さだと思う。

イカ盛り丼はイカがたっぷり!!でも鮮度が若干落ちている感じ。

でも昨今においては不漁続きのイカ。スーパーの刺身盛り合わせにも入ることなく欠員となっているイカをこんなにたくさん食べられるなんて贅沢の極み…。

ご飯は特盛なのですが本当にめちゃくちゃ量があってぎゅっと詰められている。大飯食らいも大満足な量だ。

早速イカ盛り丼から…。

突然箸が折れますた…!!

いやぁ、それにしてもイカも甘くて美味しい!

続いて海鮮丼もいただきましたがどのネタも美味しくてあっという間に完食!

540円とは思えないクオリティーでした。この値段とクオリティーなら毎週食べられますし、家族で回転寿司に行くならこっちの方が安上がりで済みそう。

メニューもかなり豊富なので選ぶ楽しみもありますね。

これはしばらく通うことになりそうです!!

石巻の大満足なテイクアウト海鮮丼ごちそうさま!!

【エッセイ】ボンレスハムとしての生き方を

「昔はスリムで引き締まっていたんだよ」

というお話を若い頃に中高年の方々から拝聴したことがある。

えー、今はそんなに肥えてるのにですか?と小馬鹿にすると決まり文句は「お前も絶対にそうなるから」と言われたものだ。

あれから数十年の時が流れ「昔は良かった」が口癖になるが実は大して良かった思い出もなく、断然今の方が便利な世の中で生きやすいと思っている。ここで言う「昔は良かった」は若くて感受性が高く些細なことで感動していたからだと思う。
今からALWAYS三丁目の夕日のような昭和の世界に戻れと言われたらお断りだ。

だが明らかに体型はスリムではなくなっていた。昔からガリヒョロでやたら大飯喰らいだったが、大飯喰らいそのままで現在まで歩んできた。
気が付けば私の腹はすくすくと育ち胴回り30cmほど太くなっていた。

だが先見の明なのか若い頃から太るかもしれないということでズボンを常に腰回り100cmの大きなサイズを買っていたので太っている実感を得ることなく20年前に購入したズボンを今でも穿いていた。しかもギャザーが付いていたからなおさらだ。

それゆえに気付くのが遅れてしまい、私の腹はボンレスハムのように割れていた。
マッチョのようにシックスパックではない。まるで尻が腹に引っ越して来た感じだ。ヘソが肛門のようになっている。

どうして今まで気が付かなかったのか?と深く後悔したが時すでに遅し。
人前に出る時はなるだけ息を吐いて止めて~はい、そのまま~とレントゲンを撮る要領で腹を意図的に凹ましていた。

だが夏になると誤魔化すことも難しくなるので春辺りから少しずつ腹を見せるようにしていった。
夏になると人一倍汗をかくのにどうして痩せないのかと己の体に限界を感じていた。脳みそは若いままと思っているのに体は確実に老いているのだ。

私は選択を迫られていた。

今から鍛え上げてシルベスター・スタローンのような体になるか、或いはこのままボンレスハムとして生きるのか?

私の頭の中に戦いのゴングが鳴った。

「何してやがる!ジムに帰ってトレーニングだ!!」
心の中でミッキーが叫ぶ。

チャラ~ラ~♪チャラ~ラ~♪チャラ~ラ~♪チャラ~ラ~♪

ロッキーのテーマがエンドレスループで流れる。
私の体はみるみる間に細くなり若い頃よりも気骨隆々に変貌していった。とにかく三年間頑張った。
すでにボンレスハムの面影はない。このまま頑張ればなかやまきんに君の『パアワァァアー!!』が使えそうだ。

それからは来るべき日のために鏡の前で毎日『パワー!!』と叫んでいた。

若い時以上の肉体を手に入れ、誰しも人生に三度はあると言われる『モテ期』が到来するのかとワクワクしていた。私の人生にはまだモテ期とやらは訪れていない。いや、自らモテ期に突入するのだ!と意気揚々と日々トレーニングに励んでいたある日のこと。

交差点で左折をしようとしていた私の車に車線を逸脱して走行していたプリウスに突撃され車は大破し私は重傷を負ってしまった。
半年に渡る治療の甲斐なく後遺症を抱え生きている。

半年の間は運動という運動も出来ずに気が付いたら体はまたボンレスハムになっていた。

当然モテ期など訪れるはずもなく、太い体で細々と生きるボンレスハムとなったのだ。

【旅日記】茨城編最終回『大洗アクアワールド水族館…そしてさらば!茨城県!』

千波湖公園で黒鳥を初めて見て興奮していたが日も傾いていたのでその姿を鮮明に捉えることはできなかったのが残念だった。

夜は水戸市にある安宿にて酒を呑みながら茨城のローカル放送を観て楽しんだ。

翌朝、早朝に宿をあとにしすき家にて朝食を済ませる。

そして気になっていた建造物を見に行く。ずっ見えていた奇妙な建物。

水戸アートタワーだ。遠くから見るとウネウネしてて面白いなと思っていたのだ。水戸にいればどこからでも見ることができる。芸術館のシンボルタワーとなっていて内部の見学もできるようだが早朝なので断念した。

そして再び進路を大洗町へと舞い戻る。

流れ行く景色が懐かしさすら感じるほどにこの町の魅力にとりつかれていた。

大洗アクアワールドの駐車場に到着。天候が少し良くない…おかげで殆どの駐車枠が空いている。ラッキーうっほほーい♪と小躍りしながら駐車場を闊歩する。そして来たのがガルパン劇場版でカモさんチーム(風紀委員)が撃破された場所。

戦車が走行できるくらいの砂浜は無いんだな…。満潮なのだろうか?

そしてここは聖グロのダージリンとプラウダのカチューシャが四号戦車を陽動した場所。

しかしダージリンとカチューシャって仲が良いんだな。阿吽の呼吸であの作戦を完成させるのだから。

大洗シーサイドホテルからもらった割引チケットで入館するとその大きさに驚いた。

実は水族館はそんなにあちらこちらと行ってるわけではないので比べることはできないが迷子になるには十分な広さと言える。

圧倒的なイワシの群れ。ぐるぐると周回して泳いでいる。照明に照らされた体がキラキラと光って綺麗だ。

幻想的なクラゲ。クラゲって良いよなぁ…ゆらゆらと海の中を海流に乗って泳いでいる。クラゲだから悩むこともないだろう。死ねば水に溶けて無くなるのだ。転生するならなりたい候補の一つだ。

この魚…名前は忘れたが身近にこういう顔のおっさんいるわ。『パッチンコ♪パッチンコ♪』と週末になるとパチンコ屋に行って惨敗し週始めから憂鬱になっているおっさん。あまりに似ているために人面魚のようで気味が悪いな。

タツノオトシゴだ。不思議な形してるよな~。未来で絶滅してて図鑑か何かに乗ってたら未来の人はこういう生物がいたとは絶対に信じないだろうな。どこぞの地域では食べるらしいが美味しいのだろうか?

バックヤードから水槽を見下ろしたりも出来る。館内はさまざまなギミックがありいくら見てても飽きない。

水族館の人気者ペンギン。まず名前からして可愛いというのが反則だ。こんな可愛いのにその生涯はとても熾烈を極める。絶対に転生したくない候補の一つだ。まず寒いのが嫌いだから無理だろう。子育て期間はオスもメスも満足に餌も食えやしない。愛らしい姿からは想像できないプロジェクトXな生涯だ。

ペンギンに生まれるくらいならハゲデブメガネな人間に生まれたことでさえラッキーだと思える。

五十鈴華さんが活けた花があった!これはTV版で見ることができる。五十鈴流とはまるで違う自分だけの華道を見つけたのだ。

ガルパンは作中で様々なキャラクターの成長を感じることが楽しい。

ここにも大きな看板があった。もう街全体でノリノリだな!

外に出るとなんとなく寂しくなった。もう旅は終わりなのだ。

ただなんとなくふと思いついて飛び出してきた。その旅が今終わったのだ。

大洗町は本当に良かった。住んでもいいかなって思えるくらいに。町の人も優しくて一緒にガルパンを楽しんでいるようで温かい町だった。

ガルパンは永遠には続かないけど、町の賑わいを忘れないようにしてほしいな。

また来るよ、大洗!!

この町に来れたことは一生忘れない。

この風景も賑わいも…。

また来れる日まで~

パンツァーフォー!!

終わり

【孤独飯】デカ盛り!久美食堂の唐揚げ定食!

早朝5時に起きて職場へ向かい1日労働に勤しみ人生の1ページとしてはだいぶ余白がある日々を過ごしていた。

平日は朝も昼も夜も質素な物を食べている。犬や猫と何ら変わらない食生活だ。そうまでして倹約に励まないと私の薄っぺらい財布など猫のくしゃみにさえも吹き飛ばされてしまう。

普段は納豆ご飯→卵かけご飯→キムチご飯→納豆ご飯というエンドレスループで週に一度だけカレーを食べる。そして日曜日はラーメンだ。

普段からラーメンを食べているとどうしても感動が薄れてしまう。平日は麺断ちをして欲求不満を蓄積しておく必要がある。

カップ麺は高級だから食べない。

だがこの日はやけに腹が減っていた。まるでブラックホールのように無限に食べ物を吸い込めそうな気分だ。

とにかく腹一杯食べられる店…あそこだ!

と、やたらに渋滞する利府街道を走り仙台へと向かう。

私は免許取得以来右折が苦手だ。信号機が変わらないと絶対に曲がれない。私の人生は左折を繰り返してきたのだ。

こうして辿り着いたのが

『(有)久美食堂』さんです。

もう仙台市民なら説明不要と思われるかもしれないが、有名なデカ盛りの店として有名である。

かつて宮城にはデカ盛りの店というと八木山の佐々久、石巻の3A食堂、そしてこの久美食堂が名を連ねていたが佐々久と3A食堂は店主が高齢につき引退されてしまい伝説と化した。

今でも佐々久のザーカイ天定食は思い出深い方もいらっしゃるのではないだろうか?

久美食堂は狭い通りに位置してあり、その名は知るが一度も行ったことがない人も多いと思われる。

初見にてカツ丼の大盛りを頼んでしまい挫折を味わう人もいるだろう。

私が店に到着したのは18時50分だ。もうそろそろラストオーダーとなる。待ちは二人。一応店に入れば注文を受け付けてくれるから安心だ。でも店の中は若者で賑わっている。なかなか回転が悪い。

そりゃあそうだろう。みんな力士にでもなるのか?と思うくらいの飯の量だ。あれをちゃっちゃと食え!なんて酷でしかない。

だが、10分程度の待ちで着席することが出来た。

久美食堂といえばチャーハンなのだが、夜までチャーハンがあることが稀だ。というのもご飯は定食用とチャーハン用と分けて炊くこだわりようなのだ。昼前にチャーハンが無くなることもある。

ここで私がチャーハンを頼むと「すいません、無くなってしまったんです」とお店の人に断られてしまうのは大幅な時間ロスだしモチベーション的にも良くない。ここはストレートにお店に来る前に決めていたメニューを注文する。

「唐揚げ定食で!」唐揚げ定食では鉄板だ。迷ったらこれにしておけば間違いはない。カレーも捨てがたかったが隣の席の兄ちゃんがスプーンを持ったまま遠い目をして固まっていた。

皿を見るとルーが無くなり申し訳程度にご飯に付いてるだけになっていた。これは初心者がよくやるミスだ。最初の勢いに任せてカレールーを多めに食べてしまったがためにご飯が余るやつだ。チャーハンはどこから食べてもチャーハンだがカレーはルーが無くなればただの大ライスでしかない。

待っている間ブログの編集でもするかと思ったが久美食堂は他の客の様子を観察するのも楽しい。特に初心者は配膳された直後のリアクションがわかりやすい。

「え…マジで!?」と目がそう言ってるのがわかる。

10分ほど待って配膳された!意外と早い!

もう無理だwwwご飯の量が半端ねぇ!!

それに加えて唐揚げが…一つ二つ三つ…全力10個だ。

とりあえず食わねばなるまい。これで普通盛りか…大盛りってどんなんだ?

なかなかよい色の唐揚げ。香りも良い。

一つ一つはそんなに大きくはないので食べやすい。衣は薄くパリッパリの食感。中はアツアツジューシー!噛み合わせが悪いと歯茎を傷付けそうだ。意外にも味は薄味である。ちょっと大量のご飯をかきこむにはインパクトが薄いような気がする。

野菜もたっぷりだ。美味しい唐揚げだけど揚げ物とちょっと疎遠になりつつあるお年頃なので半分ほど食べたら油にちょっと苦戦している。ひじょ~にヤバい展開だ。隣の兄ちゃんはというとまだスプーンを持ったまま固まっている。彼は今過去の自分と向き合っているのかもしれない。きっとこの30分くらい前は「この店俺で今日の営業終了だから!」とカツカレーを注文したに違いない。その残骸から察するに白いご飯が残っているところにカツがあったのだろう。

私はとりあえず胡椒をかけて醤油を一滴しして味変を試みる。美味しいんだけど3個食べた辺りから油が口の中を支配して油の味しかしなくなっていたのだ。

豆腐に救援を求めるが小さいのですぐに無くなった。続いてお新香も然り…。お味噌汁は最後まで残しておかねばならぬ。最終手段として猫まんまにして流し込むからだ。

今は全力を以てして唐揚げを食わねばならぬ!残すなど言語道断!鶏のために私は食う!!彼らの命は私の血肉となり共に生き続けるのだ。

唐揚げ→飯→唐揚げ→飯→唐揚げ→飯と交互に食べ進める。

野菜は最後に口の中をさっぱりさせるために残しておく。

生まれた時からどんぶり飯と頭の中で半田屋のおかっぱの女の子が小躍りしていた。はっきり言っておっさんになってからどんぶり飯はきつい。

でも久美食堂の米は美味い!炊き加減が絶妙なのだ。でも量が規格外なのだ。この物価上昇でコンビニも底上げ弁当で「さらに美味しくなりました!」なんて誤魔化して売ってるのにこの店は決してブレない!!うちはデカ盛りでやってんだ!腹ペコを仙台からなくすためにやってんだ!という粋な気合いを感じる。この店の近くに相撲部屋があれば仙台出身の関取が一人や二人生まれていたかもしれない。

20分で完食!!ズボンのバックルがはち切れそうだ。隣の兄ちゃんはすでに食べることを諦め退席していたがテーブルに残された元カツカレーライスだった大ライスが残されていた。丁寧に置かれたスプーンがなんとなく寂しさを醸し出していた。まるで駐車場に整然と並べ置き去られた靴のようだ。

私の腹はもう限界。帰りの車の燃費はかなり悪化するかもしれない。

仙台の夜を堪能しつつ帰路についたのだった。

久美食堂はどんな腹ペコも千円以下で大満足させてくれる名店です。

【エッセイ】私は洗車が嫌いだ!

私は車が好きだし、趣味はドライブだ。

と言っていた時期があった。それもかなり大昔の話で一生涯スポーツカーにしか乗らねぇぜ!と若気の至りでフェアレディZに乗っていた。

今にして思えばあの頃が全盛期でそれ以後は咲いた花が萎むように情熱も枯れていった。いきがって染めていた髪も今は昭和枯れすすきだ。

どんな人間も年を取る。

年を取り腰痛と眼精疲労を抱えるようになると『走って曲がって止まれば良い』と思うようになりエアコンすら満足に使えない軽自動車に乗るようになった。

「軽自動車に乗ったら男は終わり」と豪語していた若い頃の自分を思いっきり平手打ちしてやりたい。
維持費の安さから毎月回転寿司が食えるようになったし、ガソリンの値段も気にしなくなった。少なくとも軽自動車に乗り換えたことで生活にゆとりが生まれたのだ。

あの頃から軽自動車に乗っておれば家の一軒くらいは建ったかもしれないという後悔の念にさいなまれていた。

軽自動車はさほど神経質に乗るものではなくまさに下駄だった。

そこで生来ズボラな性格が本性を現し洗車をしなくなった。全て天然シャワーで済ませるようになっていたのだ。尚且つ汚れが目立たないシルバー色はお気に入りだった。

だが洗車が嫌いなのはズボラな性格だけではない。私のライフスタイルにもある。

職人の世界は昭和の時代のまま取り残されている。基本的に日曜日しかお休みがない。その日曜日でさえも現場によっては消失してしまうのだ。
三連休などと別次元の話だ。遠い異国の噂話か都市伝説のようなものだ。

つまり、1日しかない貴重な休みを洗車ごときに使いたくないというのが本音である。では門型洗車機に突っ込めばいいのではないか?と思われるかもしれないが日曜日ともなると行列ができている。そこに並ぶのも面倒くさいのだ。

面倒くさいと言えば私の性格も相当に面倒くさい。
汚部屋に住み続けているが片付けが苦手なのではなく片付け始めると徹底的にやりこんでしまい1日を不意にしてしまうのだ。そして、片付けた綺麗な部屋を維持すべく部屋で生活をしなくなる本末転倒ぶり。
洗車もまた一旦綺麗にしてしまうと少しでも綺麗な状態を維持したいと考え走るのを躊躇ってしまう。

結局行き着くところは洗わない、掃除しないことに尽きる。部屋は汚れているようで寝ながら何にでも手が届き必要最小限度の動きで物を入手できる。
車は走れば汚れるのだ。走らない生活をすれば自ずと燃料と時間の節約になり、その分生活に割り当てれば良い。

そう思いながら気が付けば日曜日は終わっているものでこたつでテレビを観ながら過ごした怠惰な1日は帰ってはこないのである。
笑点で木久扇師匠が駄洒落を飛ばしアハハと笑っているまさにその時に思い出して奇声をあげたくなるような衝動に駆られるのだ。

そんな私が重い腰を上げ洗車をしたのだ。車の汚れと共に私の汚れた心までもが洗い流される。光るボディに反射する空が眩しく爽快な気持ちになった。
そんな気持ち良さを維持するために駐車場に車を停めて動かさないことにした。

綺麗なままの車を眺めるのが日課になっていた。
そんなある日のこと、輝いてるはずのボディに白い乳液状のものが垂れている。なんだこれは?

紛れもなく鳥の糞だ。
鳥が私の車目掛けて脱糞しているのだ。上を見るとちょうど良い塩梅の電線が通っており、まさにあの位置から一直線に落としているのだ。綺麗な車に落とすのはさぞかし気持ち良かろうが私の心は穏やかではなかった。

まさに憤慨しているのだ。
なんとかして私の車に脱糞する鳥をギャフン!と言わせたいという気持ちになっていた。
そして同時にまた洗車をしなければならないという事実に落胆しつつも洗車道具一式揃え、電線の上で生き生きとした鳥の姿を見たら怒りも消え失せていた。

糞を洗い流したボディには再び青い空が映っていた。