朝起きると突き抜けるような空が広がっていた。
布団の中でゆっくり伸びをすると起き上がる。気持ちが軽い。これが日曜日の高揚感なのだ。
こういう日は女川に遊びに行きたいな。そういえば昨日土曜日は女川ほどまるしぇが開催されたらしい。
なんか楽しそうだったなぁ…私も行きたかった。地域を盛り上げるイベントって活気があってこっちも元気貰えるんだよね。
でも超ド底辺労働者の私は日曜日しか休みがないために無縁な話だった…。
境遇の違いを嘆いても仕方がないさ。自分の置かれた環境で楽しめることをすればよいよい。
適当に朝食を食パンで済ませると近付いてくる冬に備えてスタッドレスタイヤを用意する。1本パンクしていたのでガソリンスタンドにて修理を依頼する。ものの30分で修理完了。
さすがプロだな。
あとは適当に家事をこなしていたら時間は昼に近付いていた。あの店に行こう!
と向かったのは石巻方面。高規格道路をビュンビュン追い越されながら走ること40分。
支那そばや石巻さんです!
もう今年は何度訪れたかわからない。それくらい食べている。来る日も来る日もかけらーめんを食べ続けたのだ。それでも飽きることはない。
貧乏だから やはり麺とスープだけを味わえるのは贅沢なのだ。
天気も良く暖かいので多くのお客さんが訪れている。開店前だというのに待合室はいっぱいだ。
みんなわかってるんだなぁ…..この味を求めてやってくるのだ。
開店と同時に奥詰めで着席する。お店の中は静寂そのもの。別に私語禁止というルールはないのだが静かだ。
若き二代目店主が麺上げをする音だけが店内に響く。
何となくだが佐野実氏が厨房に立っていた時はこんな雰囲気だったのではないだろうか?
この空気感…実にいい意味で緊張している。それは客のラーメンに対する期待だろうか。
5分もしないうちに着丼!
かけらーめん大盛り+味たま
最高のビジュアル!シンプルイズベスト!かけらーめんを提供しているのは宮城県ではここだけだと思う。麺とスープに絶対の自信があるから出せるもの。
もう言葉が思いつかない。この最高の一杯を目の前にして頭が悪いから上手く説明出来ない!
私はあまり具がごちゃごちゃ入っているラーメンは好みではない。無論、お店としては全ての具が入って完成形として出しているわけでそれらがバランスを保ってるのはわかっている。それでも私はシンプルなのが好きなんだよなぁ。
食べ慣れた麺。ああ、こうやって思い出の味になっていくんだ。誰もが子供の頃に食べたラーメンって最高の味として思い出に残っていると思う。
大人になっても食べ続けたラーメンって思い出の味になるんだ。なんだかんだ言って通い詰めてから一年近くになる。二代目店主が先代店主の仕事を熱い眼差しで見つめていた時に私は大いに期待したんだよね。もうこの店は無くなるのかもしれないと思っていたから…。
舌の情報処理が追いつかない程の豊かな風味のスープ。よくぞこの味を継承したものだ。
味の継承とは難しいのだ。私は料理はしないし出来ないけど、技の継承というものは本当に難しい。
利府町の味一品が親父さんの引退で閉店したのは記憶に新しい。根強いファンが多いのだが後継者はいなかった。一時期若いのが働いていたのだが後継ぎにはならなかったのだな…。
結局味一品は伝説の店としてその幕を下ろしたのだ。
もしかしたらこの支那そばやもそうなる運命にあったのかもしれない。だが、その魂は受け継がれて現在に至る。こうして私は最高の一杯を堪能出来るのだ。
個人的な見解だがこの味たまは最高に美味い!豊かなコクと旨味はまるでスイーツだ。
お分かりだろうか?この黄身の絶妙なバランスを。外側は茹で上がった状態。真ん中にいくにつれて半熟となり真ん中はトロトロだ。白身はプリプリしてて舌の感触といいゼリーのようだ。
たった1個の卵にこんなにドラマがあるのだ。半切れにされずに丸ごと1個だから開けるまでがすごく楽しみ。
無論、日によっては仕上がり具合が違うのだがそれも楽しみのひとつだ。
気が付いたら丼は空っぽになっていた。完飲しても罪悪感のないスープ。
ふぅ…美味しかった。ただただ美味しかった。
私はラーメンを評論できるほど詳しくはないし、多くを食べているわけではない。ただ美味しいと感じたことを素直に文章に起こして記録しておきたいのだ。
何年かして読み返したらまた新鮮な気持ちになるんじゃないかな。
こんなに美味しいラーメンを食べられる人生は案外悪くないと感じた。
夜は店主さんからいただいたメンマを肴にハイボールをキメました。うめーっ!!これ何にでも合いますね!
こうしてメンマ食べてるとまたあのラーメンを食べたくなるのであった。
ごちそうさまでした~♪
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