その日は深夜ドライブを敢行していた。車なんてものは低燃費走行ばかりしていると運動不足になっちまう。たまにブン回してやらないとすぐに不機嫌になっちまうのさ。
アクセルを床まで踏み抜くんじゃないかと思うくらいにベタ踏みで加速する。
ハンドルからマシンが悦んでいるのを感じやがる。そう、これだ!俺は風になるんだ!そう思っているかのようにエンジンルームからはタービンの甲高い音が聴こえる。
タコメーターの針は激しく揺れ動きまるで胸の高鳴りを示すかのようだ。
速度計を見ると55キロだった…
遅ッッッ!?
普段からノロノロトコトコ走ってるのでいざと言う時に回らないんだなこれが…!
ぁ、21年前のターボ車だから無理もさせられないか。大事に乗ろう。
というわけでお腹も空いたので今日は泉区の方へ足を伸ばしました。泉区と言うと山岡家が定番なのですが今回は気になっていたお店
『暗黒中華そば雷電』
こちらに来てみました。中山にある『魔界ラーメン月光』の2号店なんですよね。
しかし暗黒中華そばだなんて…
入ってすぐに券売機があります。初心者なのですスタンダードな懐かしの平成中華そばをチョイス。
そしてこちらは靴を脱いで入るタイプでして…私はちょっと苦手なタイプ…。
足が臭いので
以前自分の靴を他の方が間違って履かれて帰られてしまったことがあって私が帰れなくなったことがあります。
こういう稀有なケースは私に限って頻繁に起こることです!
とりあえずわざわざこんな場所から取らないだろうという場所に靴を置きまして入店。
若いお兄さんスタッフに促され颯爽と着席。
調味料のウンチクが書かれてますね。
卓上にはたくさんの調味料が…。
私は基本的にラーメンには胡椒すら入れません。その本来の味を味わうために必要なことです。というのも私は基本的にバカ舌なので胡椒を入れると
胡椒の味しか感じないからです!
ニンニクも然り自己主張の強い調味料は入れません!
でもこの文章が皮肉めいていて面白いですね。店主さんは文才がありますね!
懐かしの平成中華そばが着ドーン!
ビジュアルは美味しそう~♪こう言ったらなんですけど全然懐かしくもないビジュアル。平成の中華そばってこんなだっけ??
スープは透明な淡いキツネ色。暗黒中華そばなんて店名からは想像もつかない。
麺は細麺だけどよく見ると全粒粉入り!これは期待か高まる。私の大好きな支那そばや石巻とよく似てる。
早速スープを一口…。
うむ?
むむむ?
お…
味薄ッッッ!?
一口では味が判別出来なかった。とにかく薄い!
麺を口に含むもインパクトのある味はない。ただ歯切れの良い食感は楽しい。
これは正直に言うと山岡家とかガツンと来てクセになる味を常食している人にとってはきついのかもしれない…。
だけど食べ進める内に豊かな昆布の旨味が口の中に広がっていくではないか!
麺のほのかな小麦の香りすら感じるほどに感覚が研ぎ澄まされていく。
これはかなりハイレベルなラーメンだ!!
そして言いたいことはまだある。
全然懐かしくない!いや、むしろ新しい!!
これは面白いラーメンだねぇ!最初は薄くてダメだと思ったけど食べてる内に舌が最適化されて淡麗な味を感知するようになっていくんだもの。
チャーシューもまた味が薄い!しかし、最適化された舌はこの薄味の中に旨味を感じ取ることができるのだ。今、私の舌は高度なセンサーとなりアンリミテッドな舌になっている。
ここにきて調味料を試したくなった。この薄味も味変をするための布石なのかと思いたくなる。興味津々で千極パウダーなるものを入れてみることに…。
煮干しの粉が浮いてる形に…おん?匂いが…凄いな!
スープを一口…こ、これはっ!?まるで違う味だ!!この味は…何となく八戸ラーメンを彷彿とさせる味に激変したぞ!これはこれで楽しくなるねぇ!
結局スープまで完飲!梅干しのサッパリ感も相成って最後まで楽しめた。
予め薄味なのはこうして本来持ちうる舌の感覚を取り戻すためなのか…一杯のラーメンを食べている間に自分の感覚が研ぎ澄まされていくのがわかるドラマ性の高いラーメンだ。
今度はニボを堪能してみたいな。また来ようっと♪