伝説のラーメンの鬼!佐野実の味を継承する宮城の名店!
とある日曜日。
朝に利府のむらさき屋で中華そばを食べたのだが悲しいことに自宅には何も食べるものがない。
あれやこれやと冷蔵庫を探しているうちにお昼になってしまった。
さて何を食べるか?
そこで思いついたのは石巻にある名店、支那そばや石巻である。
この店はガチンコのラーメン道で一躍有名になった佐野実氏の店である。
過激な言動とスープの入った寸胴ひっくり返すという過激な表現によりラーメンの鬼と呼ばれた。
佐野実氏の歯にものを着せぬ過激な発言とこだわりが強い職人気質のふるまいは多くの人の反感を買いアンチを生み出した。
これにより佐野実氏は精神を病みしばらくはテレビに出なくなったという。店にも相当な嫌がらせがあったようで過去から日本人の気質というものは変わっていないんだなと感じたものだ。
佐野実氏のラーメンは弟子から弟子へと受け継がれ多くの人に愛されるラーメンになった。
今もなおその味を求めて多くの人が店の前に行列をなしているのだ。
私は支那そばや本店のラーメンを食べたことはないがその味は忠実にいや、もっと美味しく進化しているはずだ。
腹を空かせ店に向かうと既に駐車場はほぼ満車の状態。待合室にはたくさんの人が腰掛けて待っている。外には並びが発生している程だ。
とりあえず券売機で食券を買い列の最後尾へと並ぶ。
ここは行列ができていても回転が早いので思ったよりは待ち時間は少ない。
腹も空いてくるのでちょうどよいのだ。
なんとなく見知った顔ぶれが並ぶ。話したことはないが常連が多い。
並んでから20分程で店の中へ座ることができた。
ちょうど2代目店主がその手腕を振るっている。
先代の店主が加齢により引退をすることで店は閉店となるはずだったがそれを未然に防いでくれた救世主である。
まだ若いがなかなかのやり手のようで多賀城に2店舗目を出店したのだ。
これからも発展、成長が頼もしい逸材だ。
こちらのお店は週替りで醤油と塩が入れ替わる独特のシステムだ。
この日は塩の週だ。
迷うことなく塩らーめんをチョイスしたのだ。
見た目からして最高に美味しそう!淡麗系塩ラーメンの究極の形!
こちらのお店はとても提供が早い。
店に入って10分もしないうちにラーメンが来る。
2代目店主の仕事も早いが周りのスタッフによるオペレーションもとても良い。
何の不安を感じることもなくラーメンを美味しく食べることができるのだ。
そうこうしているうちに着丼!
見た目からして本当に上品なラーメンだ。
香りもよく鼻から吸い込む空気が美味しい。
もしこの時代にゴッホがいたらひまわりではなくこのラーメンを描いたのではないだろうか?
揚げ玉ねぎの香りがとても良い。
それに伴いそれぞれの素材が絶妙にブレンドされたスープの香りがとてもたまらないのだ。
普通の塩ラーメンをここまで究極に研ぎ澄ました唯一無二の一杯だ。
透明なスープには様々な素材の旨みが溶け込んだ最高の美味しさ!
見よ!この黄金色に輝くスープを!
一口目は薄いと感じるかもしれない。
だが飲み進めていくうちに舌がより味を深く感じることができるようになっていく。
味わいの奥深さはこの食べてるうちに感じる味の変化によるものだ。
これによって最初から最後まで飽きることなく贅沢な味わいを堪能できるというもの。
このスープは宮城県内でも屈指の旨さではないだろうか?
無論、人の好みは千差万別なので一概には言えないが、私の好みには大変合っている。
麺は喉越し爽快な全粒粉入りのストレート細麺!
醤油と塩で麺の太さを微妙に変えている。塩の細麺は醤油よりも細くてパツンと噛み切れる。
実に絶妙な舌触りと爽快な喉越しを実現している。
この麺とスープの組み合わせは巧妙に計算されているのだ。
全粒粉の僅かな粒感が舌の上を滑る時に心地よい感触を残していく。
唇と舌が喜ぶ!
う、うまい!
後世に伝わる鬼の味!厳しくも繊細な優しいラーメン。
生前の佐野実氏はとても自分に厳しい人であった。
ラーメンに対する実直な想いは多くの人に感動を与えた。
時を越え世代を超えて愛されるラーメン。
テレビ番組の佐野実氏は厳しいラーメン職人を演じていたのかもしれない。
弟子に厳しく、時には暴言をふっかけることもあった。
厨房での乱闘騒ぎもあった。
でもそれはあくまでテレビ側の台本であり、実際には冗談を交えて弟子たちを笑わせる和やかな一面もあったという。
ラーメンに向ける目は厳しかったがラーメンを食べているお客さんの姿を見る目はとても優しい目をしていたと思う。
店内には厳しいルールを強いていた。
私語厳禁(実際はテレビの誇張でうるさくしなければ会話はOKだったようだ)など、今の時代ならスマホ禁止、撮影禁止などがあったのかもしれない。
でもそれは熱いラーメンを一番おいしいラーメンを食べてほしいという佐野実氏の強い思いだったのだ。
今でこそ緊張感のある頑固おやじのラーメン屋なんて流行らないのかもしれない。
ただなんとなく佐野実氏に睨まれてラーメンを食べてみたいなと思ったのであった。
そんな鬼のラーメンが東松島市にはきちんと根付いているのだ。
現在のラーメン屋にはそんな厳しいルールなんてあるわけもない。
支那そばや石巻も和やかな雰囲気でラーメンを味わうことができる。
口の中に残った余韻を楽しみつつ店を後にした。
また来よう!
支那そばや石巻の店舗情報
住所:〒981-0501 宮城県東松島市赤井鷲塚11
営業時間:11時〜15時
定休日:なし
駐車場:あり、結構広めで砂利
席:カウンター席のみ
注文方法:店入口入ってすぐの券売機で食券制
補足:水はセルフ式