デス・ドアーズ

6.鋼鉄の処女

テレッサとシュクレンは慌てて城に向かう。城門に立つ兵にテレッサが駆け寄る。「イルーヴォ王妃に会わせて!!リスティが…私の娘が!!」「許可は取ったのか!平民のイルーヴォ王妃への謁見は許されない。帰ってもらおうか!」兵はまるで何かを読み上げるよ…

5.鋼鉄の処女

「ねぇ、早く聴かせてーっ!」リスティは目を輝かせている。後に引けなくなったシュクレンは覚悟して息を吸い込む。そして…。街にとてつもない金切り声が響いた。ある者は下痢を起こし、またある者は昨夜食べた物を吐き出した。樽に入った水がピチャピチャと…

4.鋼鉄の処女

リスティは緊張のあまりか疲れて眠っていた。テレッサはリスティに毛布をかける。「この国は狂ってるのさ。子供は幸せの中で育つのに…私はその子供に手をあげなきゃならない。娘の命を守るためにこの手で撫でる代わりに殴るのさ。こんなに辛い事は…ない」テ…

3.鋼鉄の処女

突然鳴り響いた鐘の音に驚き飛び起きた。テレッサが慌ただしく部屋に入ってきてシュクレンを乱暴に揺さぶる。「起きなさい!早く!」シュクレンは目を覚ますが頭がぼーっとしていた。目を擦りながら1階に降りていくとテレッサは泥をシュクレンに浴びせた。「…

2.鋼鉄の処女

夜になると昼間の喧騒とはうってかわり街は冬の空気のように冷たく張り詰めていた。「痛ぁ…」リスティは昼間にテレッサに叩かれた顔に軟膏を塗っていた。「どうして…叩かれたの?」シュクレンが問うとリスティは少し間をおき考える。「ん…お母さんの言うこ…

1.鋼鉄の処女

魂は終わりの無い旅を続け、想いの力は永遠に朽ちる事はない。その強すぎる想いは形となり、妄想を現実にした不浄セカイを生み出す。突如として闇から光が爆発すると多くの人達が行き交う街の通りにいた。溢れるように人が押し寄せシュクレンはもみくちゃにさ…

7.ガラスの心

「…キリコ、待って…」シュクレンが前に立ち制止する。「な、何よ?」ワニに近づき手を差し伸べる。ワニはしばらく動かずにシュクレンの手をみつめていた。「…もう棄てない…大切に届ける…」(生きたかった…もっと生きたかった…)ワニの言葉にシュクレン…

6.ガラスの心

キリコはワニに連続攻撃を叩き込むが一向にダメージを与える事が出来ない。「こんなに堅いの初めてよーっ!」いくら突いても叩いても傷もつかない。ワニの攻撃を寸前で躱しすぐに攻撃を加える。シュクレンは戦い慣れているキリコの体捌きを美しく感じていた。…

5.ガラスの心

シュクレンは倒れたまま動けなかった。クロウが何かを叫んでいるが耳鳴りがしてまるで聞き取れない。目の前が暗くなり意識が少しずつ薄れていった。キリコはシュクレンを見ながら槍を構える。「やっぱり立てないようね…こうなったら問答無用即殺あるのみだわ…

4.ガラスの心

「うぅーっ!ゾクゾクするわぁ!」キリコが突然満面の笑みで震えだす。「……」シュクレンがそれを見て不思議に思った。どうして笑っているのだろう?どうして笑えるのだろう?と。「あたいってさ、このセカイじゃ絶対無敵最強の死神なのよ!だからさぁ退屈し…

3.ガラスの心

水から飛び出してきた黒い塊は身をよじらせると勢いよくその体躯を床に叩きつけた。轟音と振動が水路全体を揺らした。「なぁっ!?ちょ…待って!?」キリコがシュクレンの前を手で遮る。黒い塊が蠢きランプの灯りに照らされる。その姿は巨大なワニだった。「…

2.ガラスの心

口の中へ飴を入れると甘みが広がり舌がピリピリとした。それはどこか懐かしいような味だったが思い出せなかった。「どう?美味しい?」キリコが笑顔でシュクレンに聞く。「…うん。美味しい…」シュクレンの答えにキリコは何度も頷いた。そして、クロウの方を…