デス・ドアーズ

10.紅い死の微笑み

ランタンの光がゆらゆらと岩壁を照らす。グレッグがゆっくり歩いてくる。炭鉱夫達に戦慄が走り各々武器を構える。「早くアイツを殺すんだ!!落盤を起こしたのは俺達を殺すためなんだよ!!ティンはアイツに殺されたんだ!!」「なんだと!?何のために!?」…

9.紅い死の微笑み

入口は完全に岩で塞がっていた。「ちくしょう!まるで動かねぇ!」ランタンの光だけが頼りだった。光に照らされ粉塵が舞っているのが見える。「これは外部からの救助待つしかねぇな」親方が溜め息をつく。「親方!ここに少し隙間があります!」炭鉱夫が指差し…

8.紅い死の微笑み

結局、一日探してもウサギ殺しの犯人の手がかりは見つからなかった。「ウサギを殺した奴が不浄…なんて事あるかしら?」キリコがノスタルジアに訊くとすぐに否定した。「そんなのでこんな大きな不浄セカイを作り出すとは思えないわ。もっと強く純粋な想いが無…

7.紅い死の微笑み

翌朝。グレッグは憔悴しきり街を彷徨っていた。その様子をキリコとノスタルジア、リュックが見ている。「気の毒ね…大切に育てていたウサギが殺されたのよ…」「一体誰がそんな事を?」リュックは怒りで拳を握り締めていた。「さぁね、わからないわ。グレッグ…

6.紅い死の微笑み

辺りが暗くなり、街に明かりが灯る。炭鉱から出てきた労働者達は酒を盛り騒いでいた。その中でキリコは手品を披露して労働者達を楽しませていた。「おい!リュック!お前の彼女は芸達者だな!」親方はリュックの肩を叩く。「いや、彼女だなんて…違いますよ。…

5.紅い死の微笑み

「俺、体デカい、だから暴力嫌い」グレッグは大きな体を竦めて言った。「はぁ?意味がわからないわ。そんなデカい体してるのならみんなビビってしまうはずじゃない?」「お前わかってない、こっち来い」グレッグはキリコを促すと歩いていく。「ん?」グレッグ…

4.紅い死の微笑み

炭鉱街の中心へと歩を進める。「凄い人込みね!」「みんな坑道で働いてる炭鉱夫だよ。交代で働いてるから今が一番出歩いてる人が多いよ」「リュック!ちょっと手伝って!」途中、上の建物から女の声がした。「あ、スロウさん!」「ん?誰?」「親方の奥さんだ…

1.紅い死の微笑み

魂は終わりのない物語を紡ぎ出し、その中で永遠に生きようとする。我欲のままに都合の良い夢を見て魂は腐っていく。それが死を狩る者の手によって儚くも消えゆくものだとしても。渓谷に築き上げられた町には多くの労働者が行き交う。その多くは石炭や粉塵にま…

10.学校

「シュクレンは死神になってまだ日が浅いんだ。経験もまだ足りない。そして俺様もまだシュクレンの能力を把握しきれていない。今回の敗因は全て俺様の責任だ…申し訳ない…チャラ娘の言うことももっともな意見だ…」クロウは素直に過失を認め頭を下げた。「ま…

9.学校

「焼きそばパン…一緒に食べた」加奈は拍子抜けした表情をする。そして小さくため息を吐くと元の姿へと戻った。小刻みに体が震えている。「ねぇ、あたしってどうして生まれてきたのかな…どうして死ななきゃいけなかったのかな…どこにも…居場所がない…ここ…

8.学校

「キリコ!そろそろお遊びはおしまいよ!追い詰められた不浄は何をするかわからないわ!早くカタをつけるわよ!!」ノスタルジアはキリコの周りを飛び回る。「ノスタルジアーッ!」キリコが右手を差し出すとノスタルジアが白金の槍へと姿を変える。「そうね!…

7.学校

それは記憶なのか幻想なのかわからなかった。痛みによる混乱なのか、或いは失われたはずの記憶が蘇ってきたのは定かではない。しかし、それはあまりにも鮮明で現実的だったのだ。「ねぇ、あたしって遺書残して自殺しちゃった方が良かった?そうしたらあたしを…