紅い死の微笑み

17.紅い死の微笑み

トンとカンの体が小さくなり、ガラス玉のような魂が残された。キリコはそれを踏み潰し粉々に砕いた。「本当に滅するべきはあんた達だったんだわ!!」鉱山が轟音と共に砂のように崩れていき、街に溢れていた人達も建物も砂となり闇の中へ解けていく。「また一…

16.紅い死の微笑み

「もう完全に消えたわ…。これでこのセカイも終わりね」キリコは倒れているリュックの所に行く。「キリコ…君、強かったんだね…ゴホッ…そして、思い出したよ…僕も…死んでいたんだね…」リュックの目から涙がこぼれ落ちる。「そうよ。残念だけど…何度も何…

15.紅い死の微笑み

「思い出した?あんたは死んだのよ!何度も夢を繰り返す内に狂っていった。あんたはあたいが消してあげるわ!!ノスタルジア!!」キリコが右手を差し出すとノスタルジアが留まり白金の槍へと変化していく。「ぐ…ぐおおおっ!!」グレッグは雄叫びを上げると…

14.紅い死の微笑み

リュックの手からは皮膚を突き破り骨が露出していた。激しく出血している。「ゲハーッ!」グレッグのハンマーが横のスイングでリュックに迫る。咄嗟に両腕で防御するが体ごと叩き飛ばされて岩に叩きつけられた。「ガハッ!」全身が痺れている。そして両腕は動…

13.紅い死の微笑み

リュックは岩に激しく叩きつけられて全身傷だらけだった。両手の爪は剥がれ、腕の骨も折れている様子だった。「うう…いってぇ…」リュックが目を開けるとランプの光が岩肌を照らしており、そこにはぬらぬらと光る血液が飛び散っていた。酷く鉄臭い匂いが鼻に…

12.紅い死の微笑み

キリコは岩を掴み一つ一つ避けていく。しかし、すぐに大きな岩に塞がれてしまった。「ダメだわ…あたい1人じゃとても無理よ…」「他に入口はあるだろうけど、ルートがわからないとかえって危険ね。街のみんなに声をかけて手伝ってもらう必要があるわ」ノスタ…

11.紅い死の微笑み

リュックが目の前の石を避けると光が差した。「ま、眩しい!外だ!出れたぞ!やったぁーっ!」すると光の向こうから手が差し出された。「リュック!!良かった!無事だったのね!地面が揺れてまさかと思って来てみたら落盤事故だったわ!みんなは!?」キリコ…

10.紅い死の微笑み

ランタンの光がゆらゆらと岩壁を照らす。グレッグがゆっくり歩いてくる。炭鉱夫達に戦慄が走り各々武器を構える。「早くアイツを殺すんだ!!落盤を起こしたのは俺達を殺すためなんだよ!!ティンはアイツに殺されたんだ!!」「なんだと!?何のために!?」…

9.紅い死の微笑み

入口は完全に岩で塞がっていた。「ちくしょう!まるで動かねぇ!」ランタンの光だけが頼りだった。光に照らされ粉塵が舞っているのが見える。「これは外部からの救助待つしかねぇな」親方が溜め息をつく。「親方!ここに少し隙間があります!」炭鉱夫が指差し…

8.紅い死の微笑み

結局、一日探してもウサギ殺しの犯人の手がかりは見つからなかった。「ウサギを殺した奴が不浄…なんて事あるかしら?」キリコがノスタルジアに訊くとすぐに否定した。「そんなのでこんな大きな不浄セカイを作り出すとは思えないわ。もっと強く純粋な想いが無…

7.紅い死の微笑み

翌朝。グレッグは憔悴しきり街を彷徨っていた。その様子をキリコとノスタルジア、リュックが見ている。「気の毒ね…大切に育てていたウサギが殺されたのよ…」「一体誰がそんな事を?」リュックは怒りで拳を握り締めていた。「さぁね、わからないわ。グレッグ…

6.紅い死の微笑み

辺りが暗くなり、街に明かりが灯る。炭鉱から出てきた労働者達は酒を盛り騒いでいた。その中でキリコは手品を披露して労働者達を楽しませていた。「おい!リュック!お前の彼女は芸達者だな!」親方はリュックの肩を叩く。「いや、彼女だなんて…違いますよ。…