5.羆
「シュクレン!すまないな、どうやら町までは送ってやれそうもない…」武三は落ち着いた口調で話す。「…大丈夫。一緒に避難してる」「ああ…」その日の午後から再び吹雪いてきた。夜になると漆黒の闇に包まれ何も見えない程の猛吹雪となった。まるで獣の彷徨…
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4.羆
シュクレンがその惨状の現場から離れ、人気の無い場所に移動すると空を飛んでいたカラスが降りてきた。死神カラスのクロウはシュクレンの右肩に留まる。「…クロウ」「危なかった!危なく撃たれる所だったぜ!」「…私が止めた」「ああ、助かったぜ!不浄に遭…
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3.羆
村落に着くと男達が集まってきた。「どうだ!?やったか!?」各々に期待のような笑みが浮かんでいる。しかし男達の問いに武三は首を振る。男達は落胆の色を浮かべると大きなため息を漏らした。「…そうか。ん?その娘は?」男達の視線がシュクレンに集まる。…
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2.羆
夜。風と雪が山小屋の壁を叩きつける。古く隙間だらけの壁がギシギシと不気味な音を立てていた。隙間から風が入って火が揺らいでいた。「穴持たずなんだ」武三が呟く。「…アナモタズ?」シュクレンが火を見ながら訊く。「体が大き過ぎて冬籠もりする穴が見つ…
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1.羆
まるでそれは悲鳴のような風だった。高くそびえ立つ厳寒の山嶺から吹き下ろされ叩きつける雪は剃刀のように鋭く、冷たさで頬が切り裂かれるような痛みを感じた。林の中に身を潜めていた男が猟銃を構えて白い闇を凝視している。その先には灰色の影がうごめいて…
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17.紅い死の微笑み
トンとカンの体が小さくなり、ガラス玉のような魂が残された。キリコはそれを踏み潰し粉々に砕いた。「本当に滅するべきはあんた達だったんだわ!!」鉱山が轟音と共に砂のように崩れていき、街に溢れていた人達も建物も砂となり闇の中へ解けていく。「また一…
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16.紅い死の微笑み
「もう完全に消えたわ…。これでこのセカイも終わりね」キリコは倒れているリュックの所に行く。「キリコ…君、強かったんだね…ゴホッ…そして、思い出したよ…僕も…死んでいたんだね…」リュックの目から涙がこぼれ落ちる。「そうよ。残念だけど…何度も何…
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15.紅い死の微笑み
「思い出した?あんたは死んだのよ!何度も夢を繰り返す内に狂っていった。あんたはあたいが消してあげるわ!!ノスタルジア!!」キリコが右手を差し出すとノスタルジアが留まり白金の槍へと変化していく。「ぐ…ぐおおおっ!!」グレッグは雄叫びを上げると…
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14.紅い死の微笑み
リュックの手からは皮膚を突き破り骨が露出していた。激しく出血している。「ゲハーッ!」グレッグのハンマーが横のスイングでリュックに迫る。咄嗟に両腕で防御するが体ごと叩き飛ばされて岩に叩きつけられた。「ガハッ!」全身が痺れている。そして両腕は動…
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13.紅い死の微笑み
リュックは岩に激しく叩きつけられて全身傷だらけだった。両手の爪は剥がれ、腕の骨も折れている様子だった。「うう…いってぇ…」リュックが目を開けるとランプの光が岩肌を照らしており、そこにはぬらぬらと光る血液が飛び散っていた。酷く鉄臭い匂いが鼻に…
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12.紅い死の微笑み
キリコは岩を掴み一つ一つ避けていく。しかし、すぐに大きな岩に塞がれてしまった。「ダメだわ…あたい1人じゃとても無理よ…」「他に入口はあるだろうけど、ルートがわからないとかえって危険ね。街のみんなに声をかけて手伝ってもらう必要があるわ」ノスタ…
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11.紅い死の微笑み
リュックが目の前の石を避けると光が差した。「ま、眩しい!外だ!出れたぞ!やったぁーっ!」すると光の向こうから手が差し出された。「リュック!!良かった!無事だったのね!地面が揺れてまさかと思って来てみたら落盤事故だったわ!みんなは!?」キリコ…
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