吉作落としからの生還を考える

皆さんは吉作落としとはご存知だろうか?

これはまんが日本昔ばなしで語られた話で、天涯孤独の身の吉作が山仕事をしていて断崖絶壁にある岩棚で休んでいたところ、降りるために使っていた縄が吉作の体重で伸びきっていたがために手を離したら元に戻って、手が届かなくなり岩棚で遭難して最後には飛び降りるという救いようのない話だ。

あれで吉作生還ルートは無かったのだろうか?と考えることにした。

この話はあの吉作の立場で作った話である。



俺は吉作。幼い頃に両親を交通事故で亡くし天涯孤独の身となった。
逞しく山の男に成長したが彼女いない歴=年齢だった。

なぜなら村には若いのが俺一人で若い女なんて見たことねぇ。
都会にはデスコとか空桶とかあるとか聞いたことあるが俺にはなんのことかさっぱりわからねぇ。
だから山さ登って崖になってる岩茸を採って生活をしている。
この日も朝早くから山に登って岩茸していた。

そろそろいつもの場所だと岩茸が採れなくなってきたから今度は行ったことがない崖へ向かうことにした。

初めての崖だがおれはいつものように木に縄を縛り付けて降りて行った。

するとなんということでしょう!
たくさん岩茸がなってるでねぇか!
俺はホクホクして次から次に岩茸を採った。

しばらく夢中で岩茸を採っていたら腕が痺れてきた。

下を見ると俺が一人で座れるくらいの岩場があった。
ここから上に上がるのは体力的に厳しいだろう。だからそこで一休みすることにした。

岩場まで来ると掴んでいた縄を離して飛び降りた。

するとその勢いが強すぎたのか岩場は脆くも崩れ去り真っ逆さまに落ちていった。

岩場に体が何度も叩きつけられ腕が折れて体のありとあらゆる骨がボキボキ折れた。

薄れゆく意識の中で思ったことは体力に余裕があるうちに一旦戻ればよかったのだ。
たくさん採れることに夢中になり過ぎたせいだ。

こうして俺は死んだ。

終わり

って、もう死んどるやん!?

次回
『こんな吉作は××だ!』

果たして吉作は生還出来るのか!?

人間ドッグで天に召されそうになった話

私はその日は人間ドッグだった。
普段からジャンクフードばかり食べている私にとってはまさに恐怖そのもの。

再検査となればまたもや余計な費用がかかるというもの。

元旦から毎日10km走りまくっていた。まさに焼き付け刃もいい所で突然体が変化するわけでもない。

それでもやらないよりはマシだろうとひたすら走っていたのだ。

そして満を持して迎えた人間ドッグ。

ドラゴンボールで言えば100倍重力で修行した孫悟空のような気持ちだった。
運命の体重計に上がる。

86kg→74kg!!

おおおぅ!?痩せてるぅ!?

体脂肪率は…32%→22%!?

おおおおおお!!!?

見た目があまり変化無さそうだけど数値は確実に痩せているのだ。

食事量はほぼわかっていない。これは明らかな運動量のおかげだろう。
毎日10km走るのは大変だった。

それから検査は着々と進みなかなかの好成績を打ち出していく。

長年低血圧で悩んでいたが今回は初めて通常値だった。

視力に限っては人生初の1.5を記録した。
これは毎日走ることによってスマホやパソコンを見る時間が激減したおかげかもしれないし、筋肉量が増えたかなにかして毛細血管が復活して血流か良くなった副産物かもしれない。

明らかに私は人生で絶好調だったのだ。

内臓関係はすぐに結果はわからんが自覚症状は特に無いので悪くはないと願いたい。

そして最後の胃の検査だ。
バリウムを飲む前に発泡剤を飲んで胃を膨張させるのだ。

スティックをもらい一気に口の中へ粉を放り投げた。水を飲んで流そうと思った瞬間!!

ブフェヘアアアッ!?

私は豪快に泡を噴き出した。まるでグレート・ムタの毒霧のようにだ。

咳き込んだ拍子に鼻の中まで侵入し鼻からも泡が出てくる。

なんていうか、目の中からショワワワと音がする。

「あらまぁ!なんということでしょう!」
職員の方がビフォーアフターばりに驚いている。

とにかく苦しいっ!!息ができない!!
口からも鼻からも泡が出てるのだ。

まるで怪人カニ男だ。

なにか喋ろうとするにも泡が口からもショワショワ出てくる。

「あららら!」
職員の方も慌てふためくしかない。

その時私は思った。

今まで頑張って踏ん張って一生懸命に生きてきたのにこんなつまらないことで死ぬんだ…と。

本当に人間は簡単につまらないことで死んでしまうのだ。
全てが辞世の句を詠んで死ぬのではないのだ。

犬の散歩に出かけて犬の糞を取ろうとして身を屈めたら心臓麻痺で死ぬ人もいる。

相撲を見ていて興奮し過ぎて心筋梗塞を起こす人もいる。

今まで頑張って何十年と生きてきて最期に見たのは犬の糞やらお相撲さんのケツなのだ。

そういう人も中にはいるかもしれない。
全ての死がドラマチックではないのだ。

私は息ができない状況を理解した。もう死ぬんだ…儚い人生だった。一度でいいから宝くじに当たってみたかったと思ったが宝くじなど買った覚えがない。

なにか人生で良いことがあればよかったとは思ったが人生の良いこととはなんだろう?と疑問に思った。

そうしていると職員の方が
「バリウム飲むと落ち着くから検査してみよう!」と言った。

鼻から口から泡が出てる状況でバリウムを飲むのだ。
確かにドロドロしてて飲みやすい。

飲み終えた頃には咳も治まり何事もなく検査を終えることが出来た。

検査を終えて寒空の下に放り出された私は思った。

人間はどんなつまらないことでも死ぬんだ…と。

上品の郷の珈琲ソフト

支那そばや石巻さんを後にした私は暇を持て余していた。
厳密に言うと暇ではなく結構やることが溜まっていはいるのだが、この日曜日を満喫しなければ勿体ないじゃないか!

とは言うものの…いざ休みとなると特にやることもないというか休み下手なんだよなぁ…。

何に対してもアグレッシブになりたいとは思うものの先立つものが無いのでネガティブになりがちだ。

そこで向かったのは石巻の河北町にある道の駅
『上品の郷』である。
上品と書いてじょうぼんと読むのだ。

私は度々この道の駅には訪れる。なんて言うのかなぁ、誰かがいる安心感?

ただ何となく皆が楽しんでいる場所に行きたいだけなのかもしれないな。

ここには温泉施設があるのだがこのコロナ禍の状況ではなかなかそんな気にはなれない。

まぁ、温泉に入ってゆっくりしたいという気持ちがないわけではないがここで万が一感染したら人生が詰んでしまいそうだ。

上品の郷の外には…正確にいえば休憩室みたいなものがあるのだがその中に道の駅カフェがある。

そこの珈琲ソフトが抜群に美味しくてこれを目当てにやってくるのだ。

散々語ったが珈琲ソフトが食べたいだけだ。

コクのあるソフトクリームに苦いエスプレッソが絶妙にマッチしているんだな。

窓際に座り珈琲ソフトを食べながら行き交う人々を見る。

皆楽しそうだ。

私はいつからかおひとり様行動となった。
誰かと一緒にいると行動が制限されるので好きではないし、会話が途切れたりすると何かと気まずい空気が流れたりして気を遣うからな。

だが人並みに家庭を持ちたいという気持ちもないわけではないが…いつになったらそんな出会いがあるのかと思うが自信のなさゆえに飛び込む勇気もないわけで…。

しばらくは一人旅が続きそうである。

鬼が残したラーメンを食す

今日はすんばらすぃ日曜日だ。

私にとっては人生のダイヤモンド。
日曜日が無い人生はマシュルームが入ってないナポリタンと同じようなものだ。

その日、起きると軽く朝食を済ませる。そう、軽くだ。

全てはあの美味しいラーメンを味わうために…。

東松島市にある名店『支那そばや石巻』である。
このお店なあのラーメンの鬼と呼ばれた佐野実氏の弟子の弟子の店なのだ。

佐野さんはあの『ガチンコ!』という番組の企画『ラーメン道』に起用され一躍有名になった。
私も佐野さんを知ったのはこの番組だ。

しかしながら番組の演出なのか過剰な暴言や暴力的な姿を演じてしまったがために今で言う『炎上』してしまったのだ。
詳しい事は知らないがあの番組がきっかけで誹謗中傷や電話による嫌がらせがあったとか聞いたことがある。

今も昔も人の民度というのは差がないのだな。

だが佐野さんがラーメン界に残した功績は偉大だ。

たかがラーメンをハイエンドな食べ物に格上げしたのは佐野さんの功績だと思う。
業務用スープや既製品に頼らないラーメン作り、材料を吟味し厳選し徹底的に味を追求した。

まさに佐野さんは職人だった。

店は私語禁止、煙草禁止、携帯禁止と店の中じゃ佐野さんが法律そのものだった。
喋らばたちまち佐野さんの怒号が飛び店を追い出される。今の時代なら散々叩かれるような雰囲気だがこれは佐野さんのラーメンに対するこだわりそのものだったと思う。

多くを語れるほど佐野さんのことを知っているわけではないが…。

店に到着すると数人の行列ができていた。以前ならば大行列だったが店主が代わってからは前のように並ばなくなった。
これはコロナ禍も影響してるし単純に味が変わったとかはない。
いや、むしろ私的には美味しくなっている気がする。

開店と同時に店に入り席に座る。

若い店主のキレキレながら丁寧な仕事ぶりに席の客は釘付けだ。
この店では佐野さんの頃のように私語禁止とかはない。コロナでも無ければ普通に会話して食べても差支えはないだろう。

でも喋ることすら忘れるほどに美味しいのだ。
それはスープを口に含んだ時に訪れる幸福感が物語っている。

私が注文したのは『かけらーめん』
具はネギだけというシンプルなものだ。

だがこれがまた余計なお世話かもしれないが他の具に邪魔されることなく麺とスープの直球を味わえる。

麺は全粒粉の細麺。すこぶる喉越しが良い。
程よくスープを絡ませてくれる。

ああ、美味い…本当に美味い。

厨房では佐野さんが睨みを利かせている。

「どうだ?美味いだろう?」
と言ってくれているような気がした。

ちょっと光の加減でバッハみたいになってしまったが…orz

佐野さんはいなくなっても尚、多くの人を幸せにしているんだな。

作る人も、食べる人も。

また食べに行こう!

塩釜の老舗ラーメン屋『竹屋』

⚠過去の記事になります。

この日も仕事を終えて帰路についていた。

やけに道路が渋滞している。

「このままじゃ帰りが遅くなるなぁ…」

途中でコンビニによって夕食を買うかとも思ったがせっかく塩釜に来たのだしラーメンで済ますか。

塩釜にはかつてラーメン御三家というのが存在していた。

『来々軒』
『金富士』
『更科』
の三店舗を御三家と呼び人気を集めていたのだが残念ながら金富士は閉店。ラーメン御三家とは聞かなくなって久しい。

来々軒と更科は現在でも営業中だが時間的に既に閉まっている。

そういうわけで選んだのが塩釜の隠れ名店の
『竹屋』さんである。

寂れた雑居ビルにあり、なんとも昭和レトロな雰囲気を醸し出しているのだ。

ここのラーメンは本当に美味い。唯一無二の味と言っても過言では無い。

相変わらず親父さんと息子さんは元気だ。違う意味で元気だ。
初見の客は驚き不快な気持ちになるかもしれないがもはやこの店の独特の雰囲気と言ってもいいだろう。
仲がいいのか悪いのかいつも息子さんが親父さんにどやされている。

親子の軋轢とはあるがなかなかお互い譲れないこともあるものだ。

着丼したラーメンはまさに中華そばといった風情だ。

スープはとても透明。
香りも良い。
麺は細麺だがきちんとスープを絡ませてくる。


チャーシューは筋張った固い肉。だがこれが昔の中華そばって感じがしていい。

店内は狭く他の客が来るとあっという間に満席になってしまう。こういう場所は長居する必要は無い。

ノスタルジックな味わいに思いを馳せ、スープまで飲み干し完食。

なんか毎日食べても飽きないラーメンだな。

昔から食べているが本当にこのお店のラーメンは美味い。

親子仲良く(?)末永く営業してほしいものだ。