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5.テトテト散歩~伝説の白い鹿を探せ!牡鹿半島編

~前回のあらすじ~

ドラマ『ペペロンチーノ』の舞台となった建物を発見した我々は辺りを散策し様々な思いを馳せるが私はドラマを観ていないせいで感動は薄かった…。


テト「さてと、これからどうするお?」

「そうだなぁ…日が落ちて来る前に帰ろうか。テナさんも待ってることだし…」

テト「うん。お姉ちゃんに見せる写真を撮るお」

私とテトは景色の撮影を始める。

パシャ!

パシャ!

テト「これを…こうして…」

んん…何となくいい写真が撮れる予感がするぞ。おもむろにテトに近付きしゃがみ込む。

「おお!?なんという絶景!!」

私の目の前には秘密の花園が存在していた。なんたる素晴らしい景色だろうか!!

 

テト「こらーっ!!何を撮ってるお!?」

「いや…なんか素晴らしい景色が広がっていたもので…つい…」

テト「あとで痛い目に合わせるお!!」

「ん?ちょっと待って!なんか洞窟あるぞ!?」

テト「本当だお…なんか怖いお」

洞窟は建物のすぐ近くにあった。何となく鬱蒼としていて気味が悪い。ちょっと近くまで行ってみるか。

テト「入るのかお?」

「いや、やめとく。さすがになんの装備も無しに洞窟に入るのは危険だし何よりも…ゲジゲジとかカマドウマとかたくさん居そうじゃん!!」

テト「君はあれがすごく嫌いだものな」

「好きな人なんていないでしょ!?あんなベスト・オブ・グロテスクな虫を好きな物好きなんているわけが無い!!」

ゲジゲジもカマドウマもはっきり言えば人類には害は無い。むしろゴキブリなどの害虫を食べてくれるので益虫でもあるのだがビジュアルがもう気持ち悪くてダメなのだ。残念ながら洞窟探検は諦めて車に戻ることにした。

テト「戻ってきたぞ」

「ちょっとした探検だったね。とてもいい旅だったよ」

テト「貴重な人生の一日を無駄にしなくてすんだな」

「そりゃあね。さて、帰りはコバルトラインでブイブイ言わせて帰りますか」

テト「おおー!」

「いい景色だねぇ」

我々はコバルトラインの展望駐車場へとやってきた。

テト「せめてもっと天気が良ければよかったお」

「でも日が沈みかけた海も好きだけどね。なんか今日が終わっていくという物寂しい感じが好きだな」

テト「そうかお?」

「それにしても…」

「こんな景色がいいところまでソーラーパネルあるんだね…」

テト「はは…それは仕方ないお…」

「いつかは日本はソーラーパネルに覆われてしまうのかねぇ…」

テト「それまで君が生きてるとは思えないお」

「酷いな…!」

テト「まぁまぁ、またいつかここに来るお!」

「そうだね。今度は大切な人と…」

テト「ボクは大切じゃないかお!?」

「いやいや!そんなことないよ!!はは…」

こうして我々は牡鹿半島を満喫してのであった。伝説の白い鹿は確かに存在して宮城より遥か遠くの故郷の空を眺めていた。

なんとなく人生は旅なのだと自分と重ねて見てしまった。これから本格的な夏がやってくる日の休日だった。

 

終わり


-クレジット-

重音テト…ベ・ルル三錠様

アニメ調シェーダー…KAYA様


 

「あのさ…」

テト「何かお?」

「いや、あえて記事には書かなかったんだけど…あの駐車場って車両炎上か何かあったんじゃないの?」

テト「なんかそういう跡があったお…何も言わなかったけど…」

「だよねぇ…なんまいだー!」

 

さて!次の旅はどんな旅になるのかな?

4.テトテト散歩~伝説の白い鹿を探せ!牡鹿半島編

~前回のあらすじ~

遂に白い鹿を見つけた私とテト。その大きさと躍動感は想像を超えるものであった。しばらく辺りを散策しているとそこには…。


テト「あれってもしかして…?」

「おお!これはあのドラマで舞台となった『パラディソ 』だよ!!」

テト「だよな!?この場所にあったのかぁ~」

そう、これはあの草なぎ剛主演のドラマ『ペペロンチーノ』で最後の舞台となった店『パラディソ』なのだ。もっとも私は寝落ちして最後まで観ていないのだが…。

テト「あの最後は感動的だったお!意外な展開で驚いたお!」

「へぇ~、そうなんだ…」

店はまだ中に什器が残されているがなんとなく廃墟っぽい。まだイベントで使用するのだろうか?でも綺麗な状態なので誰かがきちんと管理しているのかもしれない。

それともこのまま時と共に朽ち果てていくのだろうか?案外ここで喫茶店でも開けば…などと素人の考えを起こすがよくよく考えてみれば常連はつかめないし何かと経費もかかる。この場所はとてもいい所だけにいろいろと残念な部分もある。

テト「今は誰もいないけど以前はたくさんの人が来たと思うと不思議だお」

「そうだねぇ、栄枯盛衰って感じるけどいろいろと思うことはあるね。ここでどれだけの人が食事と風景を楽しみ思い出を作っていったんだろうね…すごくいい場所だと思うよ」

誰もいなくなって、誰も訪れなくなって時間と共に無くなっていくものでも人々の記憶にはきちんと刻まれているのだ。家族と、友達と、恋人と…訪れた思い出の場所。

なんとなくそういうところにロマンを感じるなぁ。

テト「ここから見える景色もいいお!」

「なんとなくもの悲しげな雰囲気がいいよね」

テト「で、君は今日という日をどう思ったのかお?」

「ん?というと?」

テト「今日は君の人生で一度しかない日だお。あのまま惰眠を貪っていたらなんでもない1日だったお」

「うん、そうだね。どういうわけかこんな遠い所まで来てしまったんだ」

テト「ボクたちの旅はいつも突発的だお。思い立ったが吉日だお」

「ははは、違いないね。こんな晴れた日に一日中寝てるのもね。普段からこうやって動けたらいいんだけど…」

テト「まだ頑張れるお!もっと旅をして心のパワーを手に入れるお!」

「ああ、旅をして『心 』を見つけていくってすごく大事だと思うよ。自分が何者なのか自分自身と見つめ合うんだ。普段は誰かと一緒にいて、無意識にその誰かから見た自分を演じてるんじゃないかなって、思う時がある。本当の自分らしさってなんだろうって…」

テト「忘れっぽくてすぐにセンチメンタルに浸ってしまうのが君らしく思えるお」

「おいおい…!まぁ確かに忘れっぽいのはあるけどそれは性質だからなぁ!」

静かな波音が心に染みる。この穏やかな時間をずっと忘れずに鮮明に心に刻んでおけたらどんなにいいことだろう。どんなに素晴らしい思い出でも時が経てば色褪せて淡くなっていく。懐かしいって気持ちは人生の宝物なのかもしれない。いつかはその思い出だけに浸って夕日が沈む海を眺めることもあるのだろうか。

この時間がもっともっと続けばいいのに…。


-クレジット-

重音テト…ベ・ルル三錠様

アニメ調シェーダー…KAYA様

WorkingFloorALv0.0.6…針金様

3.テトテト散歩~伝説の白い鹿を探せ!牡鹿半島編

~前回のあらすじ~

伝説の白い鹿を探しに宮城県牡鹿半島にやってきた私とテトはとうとうその入口に差し掛かるが目の前に広がる絶景に感動を覚えた。テンション爆上げの二人が向かう先には…?


 

ひたすら林道を歩く。本当にこの先に白い鹿はいるのだろうか?ここまで来て何もなかったら…などと少し不安になりつつも穏やかな波音と爽やかな空気にそれでもいいかと感じていた。

テト「おい!何か見えてきたお!!」

「ほ、本当だ…てかさ…デカくね!?」

我々の目の前に現れたのは紛れもなく白い鹿…しかしその姿は遥かに想像していたよりも巨大だった。

遂にその姿を拝見することができた。これは…凄いぞ!!

何がって…その大きさだ。

テト「すごいおー!大きいおーっ!」

身長158センチくらいのテトと並ぶとその大きさがわかる。しかし青い空に映えるなぁ~この非日常的な風景に思わずため息が漏れる。

海側と山側ではまた表情が変わる。その白い体はとても綺麗で放置されていたとも思えない。きちんと管理されているのかも。まるで生きてるかのような表情の変化に驚いた。

テト「この鹿は遥か遠くからやってきたのかお?」

「うん、故郷は瀬戸内海にある犬島と書いてあるね。犬島といえば廃墟マニアの聖地みたいなものだな。鹿は遥か故郷の空を眺めてるんだって。故郷かぁ…人も旅をするからね。なんか感慨深いものがあるよ」

テト「ボクらも結構旅をしたよな」

「そうだね。まさかテトさんとこうして旅をするなんて夢にも思わなかったけどね」

テト「奇遇な出会いだお」

人は人生という長い旅をしている。その中で人と出会い別れて今日まで生きている。旅とはなんだろう?ふとその旅路の中で足を止めて後ろを振り返ってみる。

いや、私はずっと後ろばかり見ていたのではないだろうか?過去に出会った優しい人達…もう二度と会うこともない人達…人生は一期一会なのだ。その中で今でも身近にいてくれる人がいたら大切にするべきなんだろうけど。

私は得る事を恐れている。それは得てしまったら必ず失ってしまうからだ。失うショックを考えたら…ね。私はまだそれを受け入れる強さを手に入れていないのだ。

テト「また回想に浸ってるな?」

「お?おん」

テト「何を考えていたお?」

「ああ…まぁ、過去のことかな。忘れられないことや覚えてるんだけど思い出せないことや」

テト「ふぅん。君はいつも重要な事を忘れていたよな。大切な人の名前や出会った場所とか(テトテト散歩~哀愁釜石編にて)」

「その一つ一つを鮮明に覚えていたらきっと抱えきれないだろうね。単純に生きることだけを考えたら淘汰していかないと不安の中でしか生きられなくなるよ」

テト「あの時にも言ったお?過去も大切だけど君はこれから今を積み重ねていくって。ボクらの旅はまだ始まったばかりだお。これまでの君よりもこれからの君が未来の君にどう思ってもらえるかが大事なんだお。今を生きるんだお」

「そうだね。その未来の私の隣にテトさんがいてくれたら嬉しいよ」

テト「ボクはずっといるお。君が必要としているのなら」

 


-クレジット-

重音テト…ベ・ルル三錠様

アニメ調シェーダー…KAYA様

レンズゴースト…ビームマンP様


リボン・アート・フェスティバル

https://www.reborn-art-fes.jp/

2.テトテト散歩~伝説の白い鹿を探せ!牡鹿半島編

~前回のあらすじ~

ダイヤモンド日曜日を惰眠を貪ることで浪費していた私はふとしたことで牡鹿半島にいるという白い鹿の話を思い出した。早速テトと共にその場所へと向かうことにした。


テト「静かでいい場所だな。さて、ここからどこへ向かうんだ?」

「え…とそれが…よくわからないんだ」

テト「え?おいおい!ここまで来て迷子はあんまりだお!」

「いやぁ、予備知識ゼロで来ちゃったからね。車はここに停めて歩く必要があるみたいだよ」

「ほらほら!この先だよ!徒歩で7分だってさ!」

テト「でも誰もいないお…他に誰か来てる様子もないお」

「ん~もう展示が終わったとか?こういうイベントだといろいろと放置されてたりするし…」

そういえば最近『リボンアートフェスティバル』なんて芸術のイベントをやっていたのだ。牡鹿半島の至る所にアート作品が残されているのだが今は殆どが残骸と化している。もしかして白い鹿もそういうことになっている可能性も有り得る。

テト「本当にこの先でいいんだよな?」

「確かに不安になる道路…っていうかただの砂利道…こんなんはっきり言って予備知識がなかったら行きたいとは思えないよね…」

テト「でも冒険心をくすぐられるお!きっとこの先に白い鹿がいるお!レッツラゴーだお!」

テトは意気揚々と歩いていく。私はその背中を追って歩いていく。ふと周りを見回すとなかなか風光明媚な景色だ。

海水がとても綺麗だ。底まで見えている。まだ本格的に夏を迎える前で風も爽やかだ。穏やかな波音が心地よく耳に届きなんとなく休日感を高めてくれる。

いいな、休日って…これがずっと続いたら幸せなんだけどなぁ。毎日毎日…ん?それは無職ってやつか。

テト「なぁなぁ!」

「ん?どしたの?」

テト「なんかワクワクしてきたお!」

「え?なんで?どうして?」

テト「だってここまで来るのにこんなにいい風景にめぐり逢えたんだお!きっとこの先にもっとビックリするものがあるお!」

「そうだね。なんか本当にいいよねぇ…。こうして周りの景色を眺めて感動したり、気分が高揚するなんて最近なかったからね。旅っていいよなぁ~」

そうだ。まだ私は人生という旅の終着点はまだわからないんだ。先を知ったつもりになって歩みを止めていたけど、本当は知ったつもりの先にびっくりするようなものがあるのかもしれないのだ。

テト「早く行こうお~!」

「おっといけない…思わず回想モードになってしまった!しかし…結構歩いてきたけどまだそれらしい場所に着かないね」

テト「あっるこ~あっるこ~わたしっは元気~♪」

「本当に元気だなぁ!あと少しだ」

 


-クレジット-

重音テト…ベ・ルル三錠様

アニメ調シェーダー…KAYA様

 

1.テトテト散歩~伝説の白い鹿を探せ!牡鹿半島編

初夏頃の話。

私はいつもの如くダイヤモンド日曜日を惰眠を貪ることで浪費していた。

「あ~いくら寝てもねみぃ…」

創作意欲もかき立てられることなく窓から流れてくる風に揺らぐカーテンを見つめていた。ぼんやりした頭を搔きながらリビングに降りていくとテトがいた。

テト「おい、もう昼だぞ!」

「いや~普段の労働で疲れててね…」

テト「君はいつも疲れっぱなしなんだな…ドラマ観ながらも寝てたろ?」

「ああ、草なぎ剛主演の『ペペロンチーノ』ね。途中までは観てたんだけどなぁ…」

テト「まったく…ラストはなかなか感動の展開だったお」

「感動か…そういえばあのドラマって牡鹿半島で撮影されたんだよね?」

そう、最後の舞台となった主人公のお店『パラディソ』は牡鹿半島が舞台だった。そして牡鹿半島には白い鹿がいるという話。

テナ「それ私も聞いたことあるよ」

「おお、テナさん!」

テナ「遠い島からずっと旅をしてきて今は誰も来ない半島で遠い故郷の空を眺めて佇んでるんだって」

テト「ロマンチックだお!」

「そうそう、なんかロマンチックだよねぇ。私も噂には聞いていたのだがなかなか行く機会が無くてね…」

テト「で?その白い鹿を探しに行くのか?」

「当然!テトさんも行くよね?」

テト「お、行くお!」

「テナさんは?」

テナ「私はすることがあるから二人で行ってください」

「…そっか」

こうしてまた家を飛び出し向かったのは宮城県の先端『牡鹿半島』だ。

牡鹿半島は宮城県屈指の自然豊かで人気の観光スポットだ。島にはいくつかの漁村(?)が存在しておりそれらを巡るのも楽しいし、なんと言っても目玉は半島を縦断するコバルトラインは走り屋に大人気のドライブコースとなっている。

牡鹿半島からの『万石浦』の眺望は最高だ。激しいアップダウンとタイトなカーブは車を運転する楽しさを与えてくれる反面事故のリスクもあるために安全運転で目的地に向かう。

着いたのはとある港。

テト「水が綺麗だお!」

「人家が少なくて生活用水を垂れ流しする量が少ないから汚染されてないんだろうね」

テト「君って時々いやらしい言い回しするよな…」

「まぁ、半分事実でしょ?んでこの港から徒歩で行くと白い鹿に逢えるらしいよ」

テト「ふーん…本当に何もないんだな…」

テトは辺りを見回しながら時々海を見ては泳いでる魚を指差した。あれ?なんだろう…この感覚…ずっと昔にこんな気持ちを感じたことがある。

そういえば私は幼少の頃にこういう港町で育ったのだった。周りにはいつも酒臭くしているおじさん達がいたなぁ。なんでふと思い出したのだろうか?ここは初めてきた場所なのにやたら懐かしく感じた。


-クレジット-

重音テト…ベ・ルル三錠様

アニメ調シェーダー…KAYA様