~前回のあらすじ~
伝説の白い鹿を探しに宮城県牡鹿半島にやってきた私とテトはとうとうその入口に差し掛かるが目の前に広がる絶景に感動を覚えた。テンション爆上げの二人が向かう先には…?
ひたすら林道を歩く。本当にこの先に白い鹿はいるのだろうか?ここまで来て何もなかったら…などと少し不安になりつつも穏やかな波音と爽やかな空気にそれでもいいかと感じていた。
テト「おい!何か見えてきたお!!」
「ほ、本当だ…てかさ…デカくね!?」
我々の目の前に現れたのは紛れもなく白い鹿…しかしその姿は遥かに想像していたよりも巨大だった。
遂にその姿を拝見することができた。これは…凄いぞ!!
何がって…その大きさだ。
テト「すごいおー!大きいおーっ!」
身長158センチくらいのテトと並ぶとその大きさがわかる。しかし青い空に映えるなぁ~この非日常的な風景に思わずため息が漏れる。
海側と山側ではまた表情が変わる。その白い体はとても綺麗で放置されていたとも思えない。きちんと管理されているのかも。まるで生きてるかのような表情の変化に驚いた。
テト「この鹿は遥か遠くからやってきたのかお?」
「うん、故郷は瀬戸内海にある犬島と書いてあるね。犬島といえば廃墟マニアの聖地みたいなものだな。鹿は遥か故郷の空を眺めてるんだって。故郷かぁ…人も旅をするからね。なんか感慨深いものがあるよ」
テト「ボクらも結構旅をしたよな」
「そうだね。まさかテトさんとこうして旅をするなんて夢にも思わなかったけどね」
テト「奇遇な出会いだお」
人は人生という長い旅をしている。その中で人と出会い別れて今日まで生きている。旅とはなんだろう?ふとその旅路の中で足を止めて後ろを振り返ってみる。
いや、私はずっと後ろばかり見ていたのではないだろうか?過去に出会った優しい人達…もう二度と会うこともない人達…人生は一期一会なのだ。その中で今でも身近にいてくれる人がいたら大切にするべきなんだろうけど。
私は得る事を恐れている。それは得てしまったら必ず失ってしまうからだ。失うショックを考えたら…ね。私はまだそれを受け入れる強さを手に入れていないのだ。
テト「また回想に浸ってるな?」
「お?おん」
テト「何を考えていたお?」
「ああ…まぁ、過去のことかな。忘れられないことや覚えてるんだけど思い出せないことや」
テト「ふぅん。君はいつも重要な事を忘れていたよな。大切な人の名前や出会った場所とか(テトテト散歩~哀愁釜石編にて)」
「その一つ一つを鮮明に覚えていたらきっと抱えきれないだろうね。単純に生きることだけを考えたら淘汰していかないと不安の中でしか生きられなくなるよ」
テト「あの時にも言ったお?過去も大切だけど君はこれから今を積み重ねていくって。ボクらの旅はまだ始まったばかりだお。これまでの君よりもこれからの君が未来の君にどう思ってもらえるかが大事なんだお。今を生きるんだお」
「そうだね。その未来の私の隣にテトさんがいてくれたら嬉しいよ」
テト「ボクはずっといるお。君が必要としているのなら」
-クレジット-
重音テト…ベ・ルル三錠様
アニメ調シェーダー…KAYA様
レンズゴースト…ビームマンP様
リボン・アート・フェスティバル