日: 2021年12月7日

【日常】おパンツ作戦です!

私は悩んでいた。

あまりの忙しさに部屋の片隅で一つの山を形成していた一週間分の洗濯物だ。寒いのも手伝って洗濯するのを怠っていたせいだ。

だがこのまま放置できない理由がある。

明日穿くパンツが無い!!

このくそ寒い冬にノーパンで生活するわけにもいくまい。ここは意を決して洗濯することにした。ランドリーバッグに積めて両手で抱えながらえっちらおっちら階段を降りていくと脱衣所の洗濯機に突っ込んだ。洗剤をぶちこみスイッチオン!!

ここまで要した時間はたった10分だ。

どんなに忙しい芸能人だろうがたった10分も捻出できないわけではないだろう。明らかに私の怠惰のせいなのだが深刻な問題が発生していた。

完了まで45分である。

ちょっと待て!寝るの22時過ぎてしまうじゃないか…。

ここ最近は毛髪のことを思いやって早く寝るようにしている。どんなにケアをしようが睡眠に勝る育毛剤は無いと思っている。いや、睡眠こそが万能薬なのだ。

15年ほど三時間睡眠だったがきちんと寝てればもっと髪の毛があったのではないかと後悔している。

ノーパンで生活するのはハイリスクなので洗わねばならぬ。もし万が一社会の窓が自動ドアのようにいつの間にか空いてたら

猥褻物陳列罪で捕まってしまいます!!

しかし猥褻物…陳列罪って…??

45分後、洗濯が終わり今度は乾燥機にぶちこみました。これが18分。結構長いな…。

とりあえず暖かい部屋で『範馬刃牙』を読みながら待つことに。

Tレックスの肉を調理している研究員のシーンが秀逸だ。もしかして格闘マンガじゃなくて料理マンガだったらよかったんじゃないか?と思うくらい調理&食事のシーンが美味そうなんだよなぁ。

おっと乾燥が終わったようだ。乾燥機の扉を開けた瞬間鼻を突く悪臭がブワッと飛び出した。

何の覚悟も心構えもなく吸い込んだものだから卒倒した。

この話を知っているだろうか?

音が出る屁とすかしっ屁は同じ匂いなのだ。すかしっ屁の方が臭いと思われがちだが同じ匂いなのだ。

どうしてすかしっ屁の方が臭いかというと、屁の音を聞いた瞬間に脳は鼻に指令を出してあまり匂いを感じないように鈍化させるのだ。つまり防衛本能が働くことで匂いを感じにくくなっている。

だがすかしっ屁は音がないゆえに防衛本能が働く前に嗅覚が全開のままで匂いを嗅ぐから飛びっきり臭く感じるというわけだ。

乾燥機から出た服はすべてカメムシの匂いがしていた。

むむっ!?よく見たら乾燥機の中に黒い物体が…よく見たらそれはまさにカメムシ!?

しかも三匹もいた!!一体なぜここにッッッ!?

もしかして洗濯物に紛れ込んでいたのか?

洗う前よりも臭くなることってあるんだな!?

一時間もかけて洗濯したのに…私は項垂れ天を仰いだ。

カメムシ臭いパンツを穿くしかないのだろうか?

案外人間の鼻は優秀で同じ匂いを嗅ぎ続けると感じなくなるものだ。

だが周りにいる人はずっと臭いと感じるだろう。大人だからはっきり言わないだろうが心の中では『パクチー星人』 とか『カメムシ人間』 とか私のことを罵倒し続けるに違いない。

なので禁断のアイテムを使うことにした。

カメムシキンチョールである。実際これでカメムシは死なない。ほぼ効かないのだ。普通なら星一つの商品と思いがちだが私は最高の発明品だと思っている。

ハーモナイズド香料を使用しており、カメムシに振りかけるとあの悪臭が青リンゴのようないい香りに変化するのだ!!

これを服に吹き付ければいい匂いになるのではないかと振ってみることにした。おっと、これは決して真似をしてはいけない。

私のように特別な訓練を積んでいない限りおすすめはしない。

シューと吹き付けると

なんということでしょう!!

悪臭が青リンゴのような爽やかな香りに変化したではないか!!これならパクチー星人だなんて言われなくて済むのだ。

翌日。

「ざーす!」

私は爽やかに挨拶すると職人は鼻穴を大きく広げた。

「おめぇなんだがコロン付けてきたべ?」

「はは、わかりますかね?」

「いい匂いするもんだがらや!この洒落っ気つけでや!!」

スマン、本当はカメムシの匂いなんだ…。