~前回のあらすじ~
ダイヤモンド日曜日に惰眠を貪ることで無駄に過ごしていた私は空腹によって一念発起し塩竈へとマグロ丼を食べに行った。そこで現れたのは隠れてついてきたテトだった。
テト「それでどこに行くのかお?」
「そうだねぇ…まずはイオンで涼んでから…」
テト「全く君はだらしないなぁ。もうお昼も過ぎてしまうお!早く行くお!」
テトは駅の方に向かい歩き始めた。その後ろを仕方なくついていく。それにしても暑い…こうも暑いとラーメンとか食べる気しなくなる。と言っても冷やし中華とか好きじゃないんだよなぁ…。特別冷やし中華推しの店がない上にどこで食べても似たような味と盛り付けというのがわざわざ店で食べない理由かな。
テト「おお!あれ見ろ!」
「ん?なんだ?」
「おお、あれは東日本大震災の時の津波の到達した深さだね。ここはそんなに高い場所じゃないからこの高さまで来たんだね…怖いなぁ」
テト「運が悪ければ君もここにいたんだろ?」
「あの時はやばいと思ってたから山沿いを走ってきたんだよ。いつもの何倍もの時間がかかったけどね」
テト「こんな所まで来たんだお!」
「あの記憶は失われちゃいけないってことだね。あの時のことは今でも鮮明に覚えているよ。とても寒くてね」
塩竈も東日本大震災で甚大な被害を受けたのだ。震災中は食料を求めて右往左往したっけ…当然ここにも来たよ。
凄まじい光景だったな…。全てを飲み込み奪い去り破壊していった。私は何も出来なくて悔しかったよ。
全ての日常が崩壊して瓦礫の世界が広がり茫然と立ち尽くすしかなかった。もう前と同じ暮らしはできないと腹を括ったよ。
テト「君は乗り越えたのか?」
「ん?」
テト「あれから君は今日まで生きてきたんだろ?あの日に津波に命を奪われてしまった人達が生きたかった日々を今日まで生きてきたんだろ?」
「あの人達が…生きたかった10年か…そうだね。そう考えたらとてもかけがえのないものなんだねぇ…」
でも実際は火事場泥棒や強盗も多くて美談で済まされない部分もあったんだよなぁ…。そういう場面を沢山見てしまったから震災報道で『民度高い日本人に世界が賞賛!』なんて素直に観れなかった……。
テト「おお!ハトだお!」
「なんか寛いでるね。こんなに近くにいても微動だにせずいるとは…」
テト「鳩は平和の象徴だお」
「そうだね。この町もすっかり震災の爪痕も綺麗に直されて記憶の中から薄れつつあるのかもしれない。皮肉なことに復興が進めば進むほど人々の記憶から震災が消えていくのかもしれないな」
テト「ところでマグロ丼は?」
「あ、そうだ!マグロ丼!マグロ丼!!」
果たして我々はマグロ丼にありつけることが出来るのだろうか!?
-クレジット-
重音テト…ベ・ルル三錠様
アニメ調シェーダー…KAYA様