2021年。夏。
「あぢ~…」
外はすでに梅雨が明け初夏を過ぎて猛烈な熱波が襲っていた。待ってましたと言わんばかりに蝉が一斉に鳴き始め両耳の鼓膜をひたすら震わせていた。
私は暑さに項垂れていた。楽しいはずの休日もこうして何もせずに過ぎていくのは寂しいものだ。だが普段からの重労働によって疲労困憊な体を労うためにもぼんやりする時間も必要だろうとポジティブに捉えていた。
まだ半分目が覚めてない体を奮い立たせてベッドから起き上がる。リビングに行くとテトがいた。
テト「年明けまで寝ているつもりだったのかお?」
「いやぁ…さすがにこう暑くちゃ何にもしたくないよ…今にも溶けてしまいそうだよ」
テナ「なんにもしないことも立派な休日ですよね」
重音テナはテトの双子の姉。たまにテトに会いに来ている。普段は海外の戦場で医師として働いている。
「おお、テナさんは理解あるなぁ。そうだよ。休日だから遊ばなくてはならないということはないのだ。なんにもしないことも仕事の一つなのだ!」
テト「ほう~、だからって昼まで寝てることもないだろう」
「昼?」
ググ~…。
うむ、なんにもしなくとも腹が減ったぞ…なんか美味しいものを食べたいなぁ…。ふむ。
ふと思い出したのだが美味しいマグロ丼を食べたいと思った。最近はコンビニのおにぎりやカップ麺ばかりとかなり荒んだ食生活を送っていた。たまには新鮮な海産物を食べたいと思ったのだ。
思い立ったら吉日そそくさと準備をし意気揚々とハンドルを握り向かったのは宮城県塩竈市だ。塩釜と表記されることが多いが塩竈と書くし鹽竈とも書くらしい。いずれにしても難しい漢字だな。最近は『鬼滅の刃』で一瞬盛り上がったようだ。
さて、天候はまさにピーカンな空…日影がない…。気温もギュンギュン上がっている。
駅裏にはすぐにイオンタウンがある。こりゃあ一旦中に入って涼んでからにするかなぁ…私の車はエアコンが壊れているんだ。
??「よう!待っていたぞ!」
「なっ!?」
「テ、テトさん!?どうしてここに!?」
テト「君がなにやら企んでるようだから車の後ろに乗り込んでいたお」
「相変わらず行動が素早いなぁ…で?私はマグロ丼を食べに来たのだが…」
テト「もちろん君のおごりだろ?ボクがここまでついてきてあげたんだ。当然じゃないか、!君は天性の方向音痴だからな!ボクがいなきゃ家に帰れないだろ?」
「まぁ、やっぱりな…それでマグロ丼の店のリサーチを全くしてこなかったんだけど…」
テト「スマホで検索すればすぐに出てくるだろ?大体君はいつも何も考えないで飛び出すから現地で迷子になるんだお!」
「それじゃつまらないよ。ここまで来たんだからゆっくり散策して探すことにするよ。それに塩竈ならどこでも美味しいマグロが食べられるんじゃないかな?」
魚市場が近くにある港町塩竈ならではのものだ。
テト「それもそうだな…ボク達の旅はいつもこんな感じだお!」
こうして我々はマグロ丼を探す小さな旅を始めたのだった。
2.テトテト散歩~塩竈散策編へ続く
今回登場したスポット
-クレジット-
重音テト、重音テナ…ベ・ルル三錠様
アニメ調シェーダー…KAYA様