タグ: 読み物

【 ナベリアン 】 ナベリアン とはなんぞや!?それは自家製太麺渡辺を愛して止まない武士(もののふ)達だった!

ナベリアン に私はなりたい

宮城には『 ナベリアン 』がいるそうだ!

⚠️はじめに⚠️

この記事は私の身勝手の極意によって生み出された文章であり、決して有益な情報ではなく稼げる商材でもございません。
ただのアホな文章です!
自己責任のもと読み進めて下さい。

この文章を読んだことにより負った空腹感や損害につきましては当方は一切責任を負いませんので、悪しからずご了承下さい。

プロローグ

伝説の生き物 ナベリアン は確かに存在した!!

 暇をもて余した日曜日の午後。我々、少数精鋭奇人変人の集まり『浪漫☆倶楽部』のアジトは隙間風が私の頬を撫でていった。

「あー、暇だなぁ…」



 私は浪漫隊長『勇木 馨(いさむぎ かおる)』である。

「てぇへんだ!てぇへんだ!」といきなり大声をあげて入ってきたのは我が浪漫☆倶楽部の一番隊員である大鳥隊員こと『大鳥 信之助(おおとり しんのすけ)』だ。



「おいおい、どうしたのだ?」
 私はむっくり起き上がると慌てふためく隊員の顔を見る。鼻の穴を膨らませて野山を駆け巡ってきた犬のように息が荒い。

「隊長ーっ!ナベリアンって知ってるか!?」

「は?ナベリアン?エイリアンなら知ってるが?」

「Googleで検索しても詳しい情報が出てこねぇ!これは伝説の生き物じゃないか!?」

「ほほう、実に興味深いな!」
 我々『浪漫☆倶楽部』は怪奇現象や未確認生物などオカルトな調査をしている趣味人の集まりだ。といっても私と大鳥隊員しかいない選ばれた少数精鋭なのだ。

ナベリアンとは何者か?

 まずは語源から調べてみよう。
 世の中には『エイリアン』という言葉がある。これは宇宙からの侵略者を指した映画が元であると考えられる。それにちなんでラーメン二郎の熱烈なファンを『ジロリアン』と呼ぶ。

 しかし、ジロリアンはここだけの話だが
『寿命が短い』
という特徴がある。Twitterなどにおいては頻繁に二郎についての熱いツイートをしているがある日突然ツイートしなくなる傾向がある。
 フォロワーはなにかを勘繰り察してそれについては触れないというのが通例だ。

 
 だがある日、突然家族からのツイートが出てきて衝撃の事実を知ることになる。

でも太く!短く!生きるのが彼らの宿命(さだめ)なのだ!

 ナベリアンは宮城の超人気店『自家製太麺渡辺』という店に足繁く通うファンを指す言葉だと思われる。
 だがあくまでも自称に留まっているようで正式な呼称には発展していないようだ。

 潜在的にその個体数は非常に多いと思われる。

 おそらく自覚もなく自らがナベリアンになっている可能性も否定できない。それはゾンビに咬まれてゾンビになるように自覚ないままナベリアンになっているのかもしれない。
そういうわけで我々も調査に向かう!

生息地域

 店に到着すると多くの人が並んでいる。

「おい、すごいな…!ひぃふぅみぃ…ざっと20人は並んでいるぞ!?」
 私はその行列に驚いた。日曜日とはいえこんなに並ぶものか?

「この内の何人かはナベリアンってわけだぜ!俺達も並ぼう!」と大鳥隊員はそそくさと列に加わりスマホを取り出した。

「なにしているのだ?」

「ナベリアン釣りですわ。ナベリアンはインスタよりもTwitterに生息している可能性が高いんだ。あのダクトを撮影してツイートをするといいねを押してくれるんですわ」

「ほほう、なるほど。あのダクトねぇ」
 店からは排気のためのダクトが設けられているのだがその下に並んでいる人達は恍惚とした表情を浮かべている。

「あのダクトが怪しい!あそこでナベリアンウイルスを放出している可能性もあるな!」
 私はキメ顔で指差した。

「ナベリアンウイルスwwwいつから感染症になったんや!w」

ナベリアン はTwitterに多く生息しているらしい!

習性

ナベリアン は週に一回は訪れるらしい!

「ナベリアンは毎週来てるみたいですわ!」

「すごいなっ!」

「それくらいじゃないと ナベリアン にはなれないんですわ!」
 大鳥隊員はそう言うと鼻穴を大きく膨らませる。既に我々はダクトの下にいた。
「ふぁーっ!?なんていい匂いなんだ!!こ、これは…煮干しだな!?」

「ここで食欲のスイッチが入り、店に入った頃には最高のコンディションで食べられるってわけなんですわ!ガハハ!」

「ガハハ!じゃなくて貴様…ここまで詳しいとは…」

「実は隊長に黙っていたけど俺…隠れナベリアンなんですわ!」
 大鳥隊員は見事に育まれた腹をペコペコ叩きながらまた高笑いする。

「なんだその…隠れキリシタンみたいな言い方は!?てかナベリアン知ってたんじゃないか!!」

「まぁまぁ、家庭を持つとこういうラーメン屋に並ぶことはできないんですわ。子供がいると尚更ね。だから仕事中にこっそり寄って一人で堪能するのを隠れナベリアンって俺は言ってるんですわ!」

「ほほう、なるほどな。確かにカウンターのみで麺量も多いとなれば子連れで並んで食べるのは厳しいな」

「だから隠れナベリアンは潜在的にかなり多いと思うぜ。少ないお小遣いをやりくりしながら昼休みに並んで食べるんですわ…」
 大鳥隊員は糸のような目を更に細めながら呟いた。

 なるほどな、隠れナベリアンは切実なお財布事情を抱えながらもここのラーメンを食しているわけだ。

エピローグ

 私のように好きな物を好きなだけ食べたい時に食べれるものではないのだ。隠れナベリアン…深いな。

 入店し入り口脇にある券売機で食券を買う。脇に麺量が書いてあるリストがあるので親切だ。

 迷わず麺400gのらー麺特大を選択する。
 運ばれてきたらー麺は迫力満点のものだった。無我夢中でがっつきあっという間に完食し丼を逆さまにしてスープまで飲んだ。


「プハーッ!こりゃあたまらんな!」
「だろ?隊長もナベリアンを目指すことですわ!」
 大鳥隊長は満足げに箸を置いた。

「ナベリアン…実に素晴らしいじゃないか!私もナベリアンを目指すぞ!」
「ガハハ!その意気ですわ!」

 まだ初夏にもならない日曜日の午後。
 我々はナベリアンの謎を解き明かしたがその全容はまだ明らかではない。
 今後も調査を続け追って報告する!!

 以上!
 

【 エッセイ 】 汲み取り屋 のおっちゃん

汲み取り屋 のおっちゃんの話

汲み取り屋 のおっちゃんはヒーローだった!

 子供の頃、家のトイレと言えばボットン便所だった。ウン〇コをするとその物量に応じて『おつり』がやってくるやつだ。祖母の家は外にトイレがあり、勝手口から出て歩いたところにあった。薄暗い裸電球が怖かった。

 波トタンで作られた扉を開けて輪っかに金具を引っ掛けるだけの簡素な鍵をかけて振り向くと広さ3畳ほどの部屋の真ん中に穴が掘られていて、その上に便器が乗っかってるだけのものだった。その下はすぐに便槽で子供であれば体がすり抜けるほどの大きな開口部は恐怖だった。

 それを跨ぎウン〇コをするとかなりの確率でバッチャーン!と盛大に尻に跳ね返ってきた。

 当然汲み取り屋が来て便槽の中の糞便をバキュームカーで吸っていくのだが、それに携わるおっちゃんがすごくかっこよく感じていた。非常に寡黙で作業服をいつもピシッと着ていた。

 普通ならば顔をしかめる臭いでもおっちゃんは表情を崩さずホースの先を見つめていた。その仕事ぶりがかっこよくて憧れていた。いつか自分もおっちゃんみたいになりたいと思ったものだ。

汲み取り屋

 いつもバキュームカーが見えると玄関を飛び出しおっちゃんの仕事を横で見ていた。するとおっちゃんは

「臭いだろ?」と言った。私はウンと頷くとおっちゃんはニコッと笑った。あの寡黙で渋いおっちゃんが笑ったのだ。とにかくかっこよく私の中ではヒーローだったのだ。

 おっちゃんが仕事を終えてバキュームカーを走らせると私はその後ろを全力で走って追いかけた。

 BGMは井上陽水の『少年時代』だろうか。

 あれから何年も過ぎて超ド底辺労働者となった。決まった休みもなく祝日もない。       

 人からは汚いと蔑まされ、ああはなりたくはないと失笑される仕事かもしれない。

 でも世界の殆どはそういう人がやりたくない仕事をしている人達のおかげでストレスなく社会生活を送ることができているのだと思う。私もその数あるうちの小さな歯車だ。

 だがその小さな歯車一つ欠けたら大きな歯車は回らないのだ。

 金持ちにはなれない。人からも尊敬されない。自分らしくは生きられない。人からは指差され笑われる。

 それでも誰かの生活の役には立っているし、なくてはならない仕事だ。

 大人になってからおっちゃんの言ったことがわかった。

「これ、おっちゃんの天職だからな」

 おっちゃん、かっこよかったよ!私もそういう言葉が言えるような人生になりたいと思います。