デリシャスの限定麺!担々麺の旨さの新境地へ!
Twitter界隈を賑わせている飲食店がある。
石巻の人気店
『ファミリーレストランデリシャス』
である。
ファミリーレストランと表記しているがガストやジョイフルなどのチェーン店ではなく個人経営のお店。
石巻では大盛りのお店として有名なのだ。
そしてファミレスでありながらラーメンが美味しいのである。
しかもラーメン専門店でもないにも関わらず『限定麺』なるものを企画し、ラーメンファンのみならずラーメン屋店主も訪れその舌を唸らせる実力店だ。
ある日、私は意気揚々とお店に向かう。
すでに日も落ちかけ暗くなり、看板に明かりが灯る頃に到着したら…
駐車場が満車状態ではありせぬか!?
ぐぬぬ…なぜに?…と思ったらその日は日曜日だった…。
私は鋼の連勤術師になっていて曜日感覚が喪失していた。その日も当然仕事であったが、偶然にも早く終わり帰宅することができたのだ。
お盆休みすら奪われ、ボーナスも支給されることなく、日曜祝日関係なく毎日馬車馬のように働き続けたのだ。
日曜日くらい早く帰れるくらいの恩恵があってもいいじゃないか!
と思ったが、私と世間との処遇の違いに愕然とし肩を落とした。
その日はあっさりと諦めて、近所の公園でひたすら走り気が付いたら10kmもの距離を完走していた。仕事もプライベートも馬車馬そのものである。
きっとブランコがあったら一人でキィキィ揺れていたかもしれない。
あとは素直に帰宅し冷凍食品のパスタを食べた。
そして翌日月曜日。
この日も仕事が奇跡的に早く終わり、帰宅するなりヤッター○ンよりも素早く着替えて再び外へ飛び出した。
こうして店にたどり着くと車が1台も駐車していない。店舗の明かりはついているが客がいないのだ。
あれ?もしかして異世界転生したって感じ?と思い店に入るといつもの女将さんが出迎えてくれた。
安心した。異世界人が出てきたらどうしようかと思った。
店は貸切状態だった。
飲食店というものは誰も客がいないと入りづらいという傾向がある。
誰かがいるとなぜか安心して入ることができるのだ。
これはコンビニにも採用されており、日光によって劣化が進むのに窓際に本棚が設置されている理由がそれだ。
貸切状態で自由席なのに大体いつもの席に座る。
すぐにメニューを見ることなく『限定麺大盛り』を注文した。
ここはトッピングで温玉とご飯を追加すべきなのだろうが、なんとなく麺をたくさん食べたい気分だった。
デリシャス限定麺!冷製バジトマ粉チー担々麺登場!!
圧倒的ビジュアルの美しさ。
とても色彩に富んでおり、情熱的な赤が映える!
ふんだんに振りかけられた粉チーズの柔らかみはまるで朝日のようだ。
その光を浴びて青々とした葉のカイワレは喜んで舞っているようにも見える。
その中心のトマトは太陽だ。
まさに太陽の光を浴びて赤々と実り、この皿の中では自らが太陽になっている。
ここにあの孤独のグルメの井之頭五郎さんが登場し
「ほほう、なかなかいいじゃないか!こういうのでいいんだよ!こういうので!」などと言ったら怒り狂ったアントニオ猪木氏が往復ビンタを食らわせるんじゃないかと思えるほどの出来栄えだ。
そうだ、アントニオ猪木といえばタバスコだ。日本に最初にタバスコを持ち込んだ男。
タバスコをかけたら美味そうだ。それくらいイタリアンに見えるのだ。
これをグチャグチャに混ぜて食べるのだがとてももったいない気がする。
しかし、日本の文化には一瞬の煌めきに全てをかけるものがある。
そう、花火だ。
花火のように一瞬の美しさを魅せる。
まさしく夏の終わりにふさわしいメニューだと言える。
さて、渾身の力で割り箸を割り、いただきます!
刀削麺が織りなす食感と様々な食材の味の狂宴!
グチャグチャに混ぜると一気に様相はカルボナーラになった。
しかし、冷製なので当然冷たいのだがとても香りが豊かだ。
まずにんにくの香り、それに乗ってほのかなトマトの爽やかな匂い。包み込む粉チーズの匂い。
まるで夏の日の夕立の時に立ち上る匂いのように混ぜると香りが立っていく。
ニンニク、トマト、バジル、ゴマ、花椒…とにかくいろんな香りがする。
ここで言及しておくが、私は基本的に冷たい食べ物はあまり食べない。そして汁がないのも好まない。
なぜか?
温かくない上に汁がないとなんとなく損した気持ちになるからだ。
生来から貧乏気質で、基本的に家で食べられるものはわざわざ外食では食べないのだ。
代表的な例を言えば冷やし中華だ。
冷やし中華など家でも調理して食べられるし、錦糸卵を除けば比較的簡単に用意できるし。
さて、刀削麺を一口啜る。ピロピロとした感触が唇を震わせる。
その瞬間にトマトの風味と粉チーズとニンニクの香りが辛味と痺れと共に一気に押し寄せた!
あっという間に私の舌は情報過多によりサーバーダウンしてしまった!
私の舌は今年何回もサーバーダウンしてるからきっと私の舌はよほどポンコツなのだろうと思われるだろうが実際にポンコツである。
味のレビューに関しては参考程度に留めていただき、実際に食べていただいたほうがわかると思う。
これは食べないとわからない!私が持ちうる最大限の語彙力をもって表現するならば……
う、美味いぞ…!
ファミリーレストランデリシャスの底力を感じる計算され尽くされた味の共演!
肉味噌のコクのある味わいと胡麻ダレの風味が合わさりまったりとしていてコクがあるのにしつこくない。それだけじゃない!
カイワレが実にいい仕事をしている。キレの良さはカイワレによるものだろう。
ネギがひっそりと味を整えている。
食欲をかき立てるニンニクの香りから始まり、満足感を与えるコク、味に飽きさせないための変化に富んだ薬味、食べる楽しさを与える食感の麺、病みつきになるカラミとシビレ…ありとあらゆる計算がなされデリシャス流にカスタマイズされた至高のメニューだ。
さんざん冷やし中華をディスった美味しんぼの海原雄山先生だって何も言わずに頷くのではないだろうか?
あまりの旨さに刀削麺を掬う箸が止まらない。
画像
モチモチのアルデンテな食感はくせになる。
まるでダイソンの掃除機のようにズルズル吸い上げる。吸引力は衰えることなく丼の刀削麺がみるみる無くなっていく。
しかし麺の量は400グラム。
常人ならなかなか平らげるのが厳しい量だが金欠なくせに大食いな私にはさほど問題ではなかった。
こんな美味しいものがたった1000円ちょっとで食べられるのだ。
私が一人でこれを作れとなったら300年くらい必要だと思う。
まずは中国四川省に行って担々麺の歴史から調べる必要がある。そして麺打ちの修行だ。
刀削麺は熟練した職人の腕が必要だ。なんなら小麦粉から栽培しなきゃならん。
仮に私がレオナルド・ダ・ヴィンチのような天才ならなぜ舌が味を感じるのか?などと解剖学から始めるだろう。
私がアリストテレスならば『味を感じ我の存在を知る!』なんて当たり前なことをそれらしく言うだろう。
私が夏目漱石なら『坊ちゃん』の小説の中で蕎麦の代わりにこの麺を食べているだろう。
私が太宰治なら…。
結局は途方も無い時間がかかるがプロの料理人は経験と卓越した技術によって調理し、それぞれの食材の持ち味を最大限に引き出し客へ提供する。
私はふんぞり返って席に座っていればよいのだ。
人は幸せに慣れてしまう生き物だ。どんな幸せでも満たされてしまえば慣れて当たり前になってしまう。
だが食というアクティビティは慣れることはない。
腹が減れば新鮮な気持ちで食べることができるのだ。
一生涯続くアクティビティなのだ。
終盤、なんとなく味が濃く感じてきた。
なるほど!ここで温玉を加えて追い飯を投入すればさらに美味しく食べられるということか!?
とてもよく考えられている。完食までの導線を点と線で繋いでいる。人の好奇心をビンビン刺激してくれるのだ。
残り少なくなった刀削麺を吸い上げながら頭の中では森山直太朗の『夏の終わり』が聴こえていた。
食べ終えて。何も言えなくて…夏。
そう、夏は終わったのだ…。
働きっぱなしで何一つ夏の思い出を作れなかった2022年の夏。
これからも夏はやってくるが2022年の夏は一度しかやってこないのである。もしかするとその時にしか会えない人もいるのかもしれない。
人生は一瞬一瞬が大切なのだ。
残された一本の刀削麺を箸で挟み持ち上げる。
毎回思うのだが、デリシャスさんでご飯を食べてもう少しで食べ終わるという気持ちは満足感の他にほのかに寂しさを感じてしまう。
それはなんとなく夏の終わりのような気持ちに似ていたんだ。
私の夏は…
始まることさえなく終わっていたのだ。ただやたらに暑かったことだけは覚えている。
…チーン。
いや〜、それにしても美味しかった!語彙力の無さが悔しい限りだが、毎回毎回楽しませてくれます。
通常ではなかなか食べられない味の新体験をさせていただいてますよ。
食のボキャブラリーというか働いてるといつも同じものを食べてしまいがちなんですよね。
普段はカップ麺とおにぎりとか。コンビニのお弁当とか。
たまに外食してもいつもの牛丼とかになってしまう。
人って刺激が無ければ同じものを無難に選んでしまいがちで味が大体想像できるものを好んでしまいます。
その最たるメニューがカレーとかなんですがね。
デリシャスの限定は自分で作った概念を全て破壊し尽くすくらいのオモウマイメニューを創作してくれるので驚いてしまいます。
次は何が来るのだろう?と期待もしつつ全メニュー制覇に向けて私は腹を空かせるのであった。
その後、当然のようにランニングをして10km完走していた。
いつもより重くて走るのめちゃくちゃツラいwww
次の限定は何になるのだろうと期待もしつつ全メニュー制覇までの道のりは長く遠く感じたのである。
ファミリーレストランデリシャスの店舗情報
住所:〒986-0861 宮城県石巻市蛇田新下沼32−5
電話番号:0225-93-0163
駐車場:店舗前に広い駐車場あり
営業時間:昼11時〜14時45分 夜17時〜20時
定休日:毎週火曜日
注文方式:着席のち対面での注文。呼び出しベルあり。