4.テトテト散歩~伝説の白い鹿を探せ!牡鹿半島編

~前回のあらすじ~

遂に白い鹿を見つけた私とテト。その大きさと躍動感は想像を超えるものであった。しばらく辺りを散策しているとそこには…。


テト「あれってもしかして…?」

「おお!これはあのドラマで舞台となった『パラディソ 』だよ!!」

テト「だよな!?この場所にあったのかぁ~」

そう、これはあの草なぎ剛主演のドラマ『ペペロンチーノ』で最後の舞台となった店『パラディソ』なのだ。もっとも私は寝落ちして最後まで観ていないのだが…。

テト「あの最後は感動的だったお!意外な展開で驚いたお!」

「へぇ~、そうなんだ…」

店はまだ中に什器が残されているがなんとなく廃墟っぽい。まだイベントで使用するのだろうか?でも綺麗な状態なので誰かがきちんと管理しているのかもしれない。

それともこのまま時と共に朽ち果てていくのだろうか?案外ここで喫茶店でも開けば…などと素人の考えを起こすがよくよく考えてみれば常連はつかめないし何かと経費もかかる。この場所はとてもいい所だけにいろいろと残念な部分もある。

テト「今は誰もいないけど以前はたくさんの人が来たと思うと不思議だお」

「そうだねぇ、栄枯盛衰って感じるけどいろいろと思うことはあるね。ここでどれだけの人が食事と風景を楽しみ思い出を作っていったんだろうね…すごくいい場所だと思うよ」

誰もいなくなって、誰も訪れなくなって時間と共に無くなっていくものでも人々の記憶にはきちんと刻まれているのだ。家族と、友達と、恋人と…訪れた思い出の場所。

なんとなくそういうところにロマンを感じるなぁ。

テト「ここから見える景色もいいお!」

「なんとなくもの悲しげな雰囲気がいいよね」

テト「で、君は今日という日をどう思ったのかお?」

「ん?というと?」

テト「今日は君の人生で一度しかない日だお。あのまま惰眠を貪っていたらなんでもない1日だったお」

「うん、そうだね。どういうわけかこんな遠い所まで来てしまったんだ」

テト「ボクたちの旅はいつも突発的だお。思い立ったが吉日だお」

「ははは、違いないね。こんな晴れた日に一日中寝てるのもね。普段からこうやって動けたらいいんだけど…」

テト「まだ頑張れるお!もっと旅をして心のパワーを手に入れるお!」

「ああ、旅をして『心 』を見つけていくってすごく大事だと思うよ。自分が何者なのか自分自身と見つめ合うんだ。普段は誰かと一緒にいて、無意識にその誰かから見た自分を演じてるんじゃないかなって、思う時がある。本当の自分らしさってなんだろうって…」

テト「忘れっぽくてすぐにセンチメンタルに浸ってしまうのが君らしく思えるお」

「おいおい…!まぁ確かに忘れっぽいのはあるけどそれは性質だからなぁ!」

静かな波音が心に染みる。この穏やかな時間をずっと忘れずに鮮明に心に刻んでおけたらどんなにいいことだろう。どんなに素晴らしい思い出でも時が経てば色褪せて淡くなっていく。懐かしいって気持ちは人生の宝物なのかもしれない。いつかはその思い出だけに浸って夕日が沈む海を眺めることもあるのだろうか。

この時間がもっともっと続けばいいのに…。


-クレジット-

重音テト…ベ・ルル三錠様

アニメ調シェーダー…KAYA様

WorkingFloorALv0.0.6…針金様