魔法少女デッドオアアライブ 第9話『過去の影』

第9話:過去の影

数馬英人は仲間たちと共に、黒いゴスロリ風の少女を遠くから追っていた。鉄パイプを手に持つ彼の目は、彼女の傘が放つ破壊の光景に釘付けだった。街は廃墟と化し、国会方面へ向かう道は炎と煙で覆われている。拓也が隣で呟いた。

「おい、数馬。あいつ、本当に国会行く気だぞ。どうすんだよ?」

数馬は息を整え、答えた。

「追うしかねぇ。目的が分かれば、止める手が何か見つかるかもしれない」

佐藤が軍用ナイフを手に頷いた。

「政治家を狙ってるのは確かだ。あの執拗さ、ただの殺戮じゃねぇ」

一行は距離を保ちつつ、少女の後を追った。彼女は高級車やスーツ姿の逃亡者を見つけると、「トゥインクル♪ トゥインクル♪」と呪文を唱え、傘で触れて次々と破裂させていった。血と肉が飛び散り、悲鳴が夜空に響く。由美子が顔を覆い、涙をこぼした。

「何で……こんな残酷なこと……」

美咲が冷静に言った。

「残酷だけど、狙いが明確よ。政治家や権力者だけを執拗に追ってる。無差別じゃないわ」

数馬が呟いた。

「なら、理由があるはずだ。あいつ、何でこんなことしてんだ?」

その時、少女が立ち止まった。目の前には崩れたビルの残骸があり、その中にスーツケースを抱えた男が隠れていた。男が叫びながら逃げようとした瞬間、少女が傘を突き出した。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」。男の身体が膨張し、破裂した。だが、その瞬間、男のスーツケースが地面に落ち、中から書類が散らばった。

「おい、あれ!」

拓也が指さす。数馬は瓦礫に近づき、書類を拾い上げた。そこには「不老不死技術開発計画」と書かれた文字が目に飛び込んできた。

「不老不死……何だよ、これ?」

美咲が書類を覗き込み、驚いた声で言った。

「脳移植とクローン技術の研究……これ、政治家の名前が入ってるわ。こいつら、不老不死を目指してたの?」

佐藤が目を細めた。

「だから狙われてるのか?過去の因縁か何かか?」

数馬が書類を手に持ったまま、少女を見た。彼女は無表情で次のターゲットを探している。だが、その背中に何か悲しげな影を感じた気がした。

「過去……か。あいつ、何か背負ってるのかもな」

彩花が震える声で呟いた。

「でも……それなら何で私たちまで……」

「分かんねぇ。でも、この書類がヒントになるかもしれない」

数馬が書類を握り潰すように持つと、少女が再び動き出した。彼女の傘が次の車に触れ、爆発が起きた。だが、その一瞬、彼女の瞳が数馬の方を向いた気がした。

一行はさらに追跡を続け、やがて国会に近づく大通りへ出た。そこはすでに自衛隊の残骸と逃げ惑う人々で溢れていた。少女は淡々と進み、国会の建物が見える距離まで来た。

「トゥインクル♪ トゥインクル♪」

彼女が傘を振り上げると、国会の門が膨張し、爆発した。コンクリートが飛び散り、数馬たちは身を伏せた。

「やばいぞ、国会まで壊す気だ!」

拓也が叫ぶ。佐藤が冷静に言った。

「ここで政治家を一網打尽にするつもりだな。だが、あの魔法……何か限界があるはずだ」

美咲が頷いた。

「エネルギー変換なら、動力源が必要よ。傘そのものか、彼女の身体に何か仕掛けがあるのかも」

その時、国会の窓から逃げ出す人影が見えた。スーツ姿の政治家たちだ。少女が傘を構え、彼らに向かって歩き出した。数馬は決意を固め、叫んだ。

「待てよ!お前、何だ!何でこんなことするんだ!?」

少女の動きが一瞬止まった。彼女が振り返り、数馬を見据えた。黒いドレスの裾が風に揺れ、傘を手に持つ姿は不気味で美しかった。だが、その瞳に深い悲しみが宿っている気がした。

「答えろよ!不老不死が何なんだ!お前は何者だ!?」

数馬が一歩踏み出すと、少女が傘を掲げた。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」。地面が膨張し、数馬は咄嗟に跳び退いた。爆発が起き、衝撃で彼は地面に倒れた。

「数馬!」

拓也と彩花が駆け寄る。少女は数馬を見下ろし、一瞬だけ口が動いた気がした。だが、声は聞こえず、彼女は再び国会へと向かった。

数馬は立ち上がり、肩を押さえた。

「くそっ……何か言おうとしたのか?」

美咲が書類を手に言った。

「彼女、感情があるみたいね。機械じゃないなら、過去に何かあったのかも」

佐藤が頷いた。

「なら、あの不老不死計画が鍵だ。政治家を狙う理由がそこにある」

由美子が涙を拭い、呟いた。

「悲しそうだった……あの子……」

数馬は鉄パイプを握り直し、少女の背中を見つめた。彼女が国会の中へ消えると、爆発音が連続して響いた。

「おい、数馬。どうすんだよ?」

拓也の問いに、数馬は答えた。

「追う。あいつの過去が分かれば、止められるかもしれない。俺たちはまだ諦めねぇ」

仲間たちが頷き、一行は国会の瓦礫へと向かった。少女の影が過去を隠しているなら、それを暴くことが希望への第一歩かもしれない。