魔法少女デッドオアアライブ 第4話『自衛隊の反撃』

第4話:自衛隊の反撃

数馬英人は公園の外れで立ち止まり、息を整えた。拓也と彩花がその横で肩を震わせ、遠くで響く爆発音に怯えている。夕陽が沈みかけ、空が赤と灰色に染まる中、街はすでに日常を失っていた。パトカーのサイレンが近づき、数馬たちは路地裏に身を隠した。

「おい、数馬。警察ならあいつを止められるんじゃねぇの?」

拓也が囁く。数馬は首を振った。

「分かんねぇ。でも、あの傘の前じゃ……」

彩花が震える声で呟いた。

「何で……何でこんなことが……」

答えられない問いが重く響く中、パトカーが路地の入り口に停まった。拡声器から声が響いた。

「住民は直ちに避難してください!危険な人物が付近に出没しています!」

だが、その警告は途中で途切れた。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」という鈴のような声が聞こえ、次の瞬間、パトカーが膨張し、爆発した。炎と金属片が飛び散り、数馬たちは咄嗟に頭を下げた。

路地の向こうに、あの少女が現れた。黒いゴスロリ風のドレスが血と埃で汚れ、傘を手に無表情で立つ姿は異様だった。彼女は爆発したパトカーを一瞥し、再び歩き出した。警察官が拳銃を構えて叫んだ。

「止まれ!撃つぞ!」

少女は反応せず、傘を軽く振り上げた。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」と呪文が響き、警察官の身体が膨張し、破裂した。血飛沫が路地を染め、数馬は目を背けた。

「何!?何だよ、あいつ!人間じゃねぇ!」

拓也が叫び、数馬の手を引っ張って走り出した。彩花も必死に後を追う。三人は路地を抜け、大通りに出た。

そこはすでに戦場だった。車が炎上し、建物が崩れ、人々が逃げ惑っている。遠くでヘリコプターの音が聞こえ、数馬が空を見上げると、自衛隊の機影が見えた。

「自衛隊か……やっと本気かよ」

拓也が呟く。だが、数馬の胸には不安が広がった。あの少女を止められるのか?

大通りを埋め尽くすように、自衛隊の車両が展開し始めた。迷彩服の隊員たちが銃を構え、バリケードを築く。拡声器から命令が響いた。

「目標確認!攻撃準備!」

その時、少女が大通りの中央に姿を現した。黒いドレスの裾が風に揺れ、傘を手に静かに立っている。隊員の一人が叫んだ。

「撃て!」

銃声が一斉に響き、弾丸が少女に向かって放たれた。だが、彼女は傘を広げ、盾のように構えた。弾丸が傘に当たると、金属音が響き、跳ね返される。数馬は目を疑った。あの傘、ただの布じゃないのか?

「トゥインクル♪ トゥインクル♪」

少女が傘を振り上げ、近くの装甲車に触れた。車体が膨張し、次の瞬間、爆発した。炎が上がり、隊員たちが悲鳴を上げて散り散りに逃げる。自衛隊の反撃が始まったが、少女は動じなかった。彼女は傘を手に次々と隊員や車両を破壊していった。

「何!?何だよこれ!自衛隊までダメなのかよ!」

拓也が叫ぶ。彩花は涙を流しながら地面に座り込んでいた。数馬はただ立ち尽くし、少女の動きを見つめた。無感情に、機械的に、彼女は殺戮を続ける。だが、その行動に何かパターンがある気がした。

「おい、数馬!逃げるぞ!」

拓也が数馬の腕を引っ張るが、数馬は動かなかった。

「待てよ。よく見ろ。あいつ、ただ殺してるだけじゃねぇ」

「何!?何だよそれ!?」

「分かんねぇけど……何か目的があるみたいだ」

数馬の言葉に、拓也が顔を歪めた。

「目的!?ふざけんなよ、人殺しに理由なんかいらねぇだろ!」

だが、数馬の頭には疑問が浮かんでいた。あの瞳、あの動き。彼女は何かを探しているのか?

その時、ヘリコプターが上空から攻撃を始めた。ミサイルが少女に向かって発射され、大通りに着弾した。爆発が起き、煙が立ち上る。数馬たちは衝撃で地面に倒れ、顔を上げた。

「やったか!?」

拓也が叫ぶ。だが、煙が晴れると、そこには少女が立っていた。傘を盾に構え、黒いドレスがわずかに焦げているだけ。彼女は無傷だった。

「トゥインクル♪ トゥインクル♪」

少女が傘を空に掲げると、ヘリコプターが膨張し始めた。隊員の悲鳴が聞こえ、次の瞬間、機体が空中で爆発した。燃える残骸が大通りに降り注ぎ、数馬たちは呆然と見つめた。

「何!?何だよこれ……勝てねぇじゃん……」

拓也が膝をつき、彩花が嗚咽を漏らす。数馬は歯を食いしばった。自衛隊すら無力なら、どうすればいい?

少女が再び歩き出した。彼女の視線が一瞬、数馬たちの方を向いた気がした。だが、すぐに背を向け、大通りの奥へと進んでいく。爆発音と悲鳴が遠ざかり、数馬たちは取り残された。

「数馬……どうするんだよ……」

拓也の声に、数馬は拳を握った。

「分かんねぇ。でも、逃げるしかねぇ。まだ終わってねぇよ」

三人は立ち上がり、煙と炎に包まれた街を後にした。背後で、少女の足音が静かに響いていた。