「ふははは!そのようなか弱き小娘に何ができる!!俺の血肉に変わるだけだ!!」
ダン国王が踏み込みロウファとの間合いを詰める。
するとロウファは後ろ手からハンマーを勢いよく振り抜いた。
「ぷぁっ!?」
不意を突かれたダン国王は顔面にハンマーを受け後方へと吹き飛ぶ。
更にロウファの追撃が始まる。床にハンマーを叩きつけた勢いで弾かれたように加速し吹き飛んだダン国王の上に瞬間的に追いつくとハンマーを垂直に振り下ろした。
「ぐほぅあっ!!」
ダン国王はハンマーと床に挟まれる。その衝撃は凄まじく、床に伝わり大きく窪んでヒビ割れた。
「これでトドメだ」
更にロウファは頭上に振り上げると勢いよくハンマーを振り下ろす。
「ふんっ!!」
ダン国王は両手でハンマーを受け止めた。まるで硬い岩を叩いたようハンマーは止まり衝撃はロウファの両手に伝わった。
「ッッッ!?」
「ふふふ…なかなかやるようだが所詮は子供!!詰めが甘いわ!!」
ダン国王は蹴りを放つ。
しかしロウファは上体を反らし巧みに最小限の動きで蹴りをかわす。
「あ、あの距離であの蹴りを…」
他の死神はロウファの見事な戦いぶりに驚嘆している。
ダン国王は何度も蹴りを放つが全てが皮1枚でかわされている。
振り抜いた蹴り足にハンマーを叩きつけた。
「おごぁっ!?」
ダン国王が足を押さえ顔を歪めた。
そしてゴルフボールを叩くようにハンマーを振り抜きダン国王の背中を叩くとその巨躯は軽々と弾け飛び壁際まで吹き飛んだ。
「愚かな不浄に痛みを…そして苦しみを…」
再び加速しハンマーを振り上げる。その瞬間ダン国王は目を見開き両腕を突き出す。
「ふはは!これでも喰らえ!!」
両腕を交差し力を込めて振り出す。すると衝撃波が放たれ、それは鋭利な刃のようになりロウファに向かってくる。
ロウファはハンマーを地面に叩きつけると勢いを利用して回転すると体を上へと移動させる。そして、衝撃波を回避すると回転の勢いのままダン国王の脳天へとハンマーを叩き落とした。
「ごあっ!?」
脳天にハンマーを叩きつけられダン国王はうつ伏せに倒れた。
倒れたダン国王に近付く。
「痛いか…?」
ロウファが問うがダン国王に反応はない。
「苦しいか…?」
すると突然ロウファの左足首を掴み無造作に持ち上げた。
「ふははは!ここで油断するとはやはり子供だな!死ねぃっ!!」
掴んだまま地面に叩きつけようとする。
だがロウファはハンマーで地面を叩き衝撃を逃す。
「何ぃっ!?」
その反動を利用しダン国王の側頭部にハンマーを叩きつけた。
「ごぁっ…あが…」
ダン国王の目が反転しぐらりと体が揺らいだ。
「痛みも苦しみもワタシには無い」
ロウファは再びダン国王の顔面にハンマーを叩き込んだ。
頭蓋骨が軋む音と共にダン国王が仰向けに倒れた。
「や、やったのか?」
死神がロウファの圧倒的な強さに驚き立ち尽くしていた。
「あらあら☆もうやっつけてしまいましたの?」
クリスが部屋の入り口に立っていた。
ロウファが振り向く。
「まだ不浄の魂が残っていたか!」
死神は大鎌を構える。
クリスは魔導書を開き呪文を詠唱する。
「はぁっ!」
死神が飛び込む。
眼前のクリスがニヤリと笑うと2つに割れて少しずつズレていく。
「え?…あ」
死神は真っ二つに切断されていた。
二つに斬り裂かれた死神の死体がクリスの両脇に転がる。
「敵の戦力すら見抜けないなんて無能の証しですわ☆そう思いませんこと?」
クリスが不敵に笑いロウファを見つめた。