ホールではキリコとノスタルジアが中央の地図を見て悩んでいた。
「カカカ!貴様らまだいたのか!早く帰って家でミルクでも飲んでたらいいものを!」
ブラックが高らかに笑いながら現れた。
「ちょっと!あんたの従者の馬鹿力のおかげで怪我して仕事を選んでるのよ!」
キリコは頬膨らませ腫れた手を見せる。
「んん?軟弱な証しだ。そういえば先程ルシファー様にお褒めのお言葉をいただいたぞ。以前に貴様らが葬ったグレッグって不浄の魂がいたろう?あいつをものの数秒で葬ったのだ!」
「はぁ?言ってる意味がわからないわ!あいつはあたいが魂ごと滅したはずよ!」
キリコは訝しげな顔をする。
「どうやらルシファー様のお力を知らないようだな!ルシファー様はこの宇宙に存在した全ての魂の記憶を司っておられるのだ。だからいくら魂を滅しても宇宙の存在の記憶は消せないのだ!」
「そんな説明されても理解できると思ってるの?あんたバカなの?」
「なんだと!?この説明で理解出来ない貴様が馬鹿なのだ!」
ブラックは激昂し翼をばたつかせる。
「でもさー、なんかインチキ手品師みたいじゃない?」
「ルシファー様への暴言は許さんぞ!」
ブラックがいきり立ちクチバシを鳴らす。
「で?グレッグっていったっけ?そいつをどうしたのよ?」
キリコの問いにブラックは頭を揺らしながら事の経緯を再び説明する。それを聞いてキリコはたちまち仏頂面になり苛立たしそうに頭を掻く。
「なーんかイライラするわ!あたいの仕事を否定されたみたいでね!」
「カカカ…中途半端な仕事をしているから当然だ!ルシファー様の話だと邪な部分だけを滅したとか?完全消滅させることが我々ソウルイーターの仕事ではないのか!?この半端者の三流めが!!」
「あんたはそんな残り物を始末しただけでしょ!」
「なんだと?貴様侮辱する気か!!」
「ふん!チキン野郎のくせに…何ができるのかしら?あまり燃えると焼き鳥になるわよ!」
キリコは腕を組む。
「キリコ!上手いわ!」
ノスタルジアがクスクスと笑う。
「貴様ら!このブラック様を侮辱するか!?ロウファ!やるぞ!!」
ロウファが右手を差し出すとブラックが留まりハンマーへと変化する。
「ふん!バッカじゃないの?あたいがあんた達と喧嘩する程暇だと思ってんの?」
「どうした?我らが恐いのか?」
「恐いも何もあたいは怪我してるの!痛いから帰るの!わかる?そのやる気を少しは仕事に向ける事ね!バーイ♪」
キリコは手を振り歩いていく。
ロウファがキリコに近付く。
「痛いか…?」
「はぁ?痛いに決まってんじゃん!骨折れてるのよ?」
「ワタシには無い感覚だ…」
ロウファの冷たい目がキリコに向けられた。
「ならその痛い感覚思い出させてあげる?メタメタのギタギタにしてあげるわ!」
キリコがイタズラっぽい笑顔を向ける。
「行け!ロウファ!」
ブラックのかけ声と同時にロウファはハンマーを振る。キリコはそれをかわす。
「あっぶないわねーっ!冗談通じないの!?」
「キリコ!」
ノスタルジアが心配そうに飛んでくる。
「ノスタルジア!あたいもう帰るね!」
キリコはロウファの猛撃をかわしながら言う。
「キリコ!あなた仕事サボる気!?大体あなたは仕事に対して…」
「おっおっおっお説教キラーイ!!」
キリコは颯爽と走り去った。