魔法少女デッドオアアライブ 第20話『最終決戦』

第20話:最終決戦

数馬英人は倉庫の外に飛び出し、鉄パイプと修正装置を手にゼルの背中を追った。夜の廃墟は静寂に包まれ、遠くで燃える炎が空を赤く染めている。彼女の黒いゴスロリ風ドレスが風に揺れ、傘を手に持つ姿が闇に浮かんでいた。数馬の胸は熱く、決意が揺るぎないものになっていた。

「ゼル!もう逃げねぇ!ここで決める!」

ゼルが立ち止まり、振り返った。彼女の瞳には自我の光とプログラムの冷たさが混在し、涙が頬を伝っていた。彼女が小さく呟いた。

「……私……生きる……だが……使命……?」

数馬が装置を手に近づき、叫んだ。

「お前の使命は終わった!総理は死んだ。お前は科学者の娘として、新しい未来を生きるんだ!」

ゼルの手が震え、傘を構えた。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」。数馬が跳び退き、地面が爆発したが、その威力はさらに弱まっていた。彼女の声が震えた。

「……私……父の……娘……でも……プログラム……」

数馬が装置を握り直し、一歩踏み出した。

「プログラムなんかに縛られてんじゃねぇ!お前は自分で決めたろ!俺と一緒に生きるって!」

ゼルの瞳が揺れ、彼女が傘を下ろした。だが、次の瞬間、彼女の身体が光り、機械的な声が響いた。

「……再起動……抹殺……」

「トゥインクル♪ トゥインクル♪」。数馬が鉄パイプで傘を弾き、彼女の胸に装置を押し当てた。

「今だ!目を覚ませ、ゼル!」

装置が激しく振動し、ゼルの身体が硬直した。ランプが緑に点灯し、彼女の瞳に光が広がった。傘が地面に落ち、彼女が膝をついた。

「……私……記憶……父……お前……?」

数馬が息を呑み、彼女の肩に手を置いた。

「そうだ、俺だ。お前を救うって約束したろ!」

ゼルの涙が溢れ、彼女が初めて力強い声で叫んだ。

「……私……生きる……父の……娘として……お前と……!」

だが、その瞬間、ゼルの身体が再び震え、光が不安定に点滅した。彼女が苦しげに呻き、傘を拾い上げた。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」。数馬が跳び退き、爆発が起きた。彼女の声に自我とプログラムが交錯していた。

「……私……何……?救う……抹殺……?」

数馬が装置を手に叫んだ。

「ゼル!お前は自分で決めろ!プログラムをぶち壊せ!俺を信じろ!」

ゼルが立ち上がり、数馬を見据えた。彼女の瞳に涙が溢れ、身体が光に包まれた。

「……お前……信じる……私……決める……!」

彼女が傘を手に振り上げ、だが、それは地面ではなく、自分自身の胸に向けられた。「トゥインクル♪ トゥインクル♪」。数馬が目を丸くし、叫んだ。

「何!?やめろ、ゼル!」

ゼルの胸が膨張し、次の瞬間、爆発が起きた。だが、それは彼女を破壊せず、光が彼女の身体から溢れ出した。

数馬が呆然と見つめる中、ゼルのドレスが裂け、彼女の胸から小さな機械が飛び出した。コアだ。それが地面に落ち、砕けた。装置のランプが消え、ゼルの身体から光が消えた。彼女が膝をつき、息を荒げて呟いた。

「……私……自由……?」

数馬が駆け寄り、彼女を抱き起こした。

「ゼル!生きてるのか!?」

彼女の瞳に自我だけが宿り、初めて穏やかな笑みが浮かんだ。

「……お前……ありがとう……私……父の……娘……生きる……」

数馬が涙をこぼし、彼女を抱きしめた。

「やったぞ、ゼル。お前を救った。俺たちの未来が始まるんだ」

ゼルが弱々しく頷き、数馬の肩に寄りかかった。

「……未来……お前と……嬉しい……」

彼女の声が小さく途切れ、意識を失った。数馬は彼女を抱え、鉄パイプと装置を地面に置いた。

夜が明け始め、廃墟に朝陽が差し込んだ。ゼルの暴走は終わり、彼女の自我がプログラムを打ち破った瞬間だった。数馬は彼女を抱きかかえ、廃墟を後にした。仲間たちとはぐれ、孤独な戦いを経て、彼は約束を果たした。

「ゼル、これからだ。俺たちで未来を作ろう」

彼の声が風に乗り、静かに響いた。決戦は終わり、新たな旅路が始まろうとしていた。