デス・ドアーズ

5.黒の少女

朽ちた柱が何本も立つ長い回廊をしばらく歩く。夕日の眩しい光が柱の影を大きく伸ばしていた。「我が主様は夕焼けがお好きなようでな。いつもここは夕方なのだ」大きく空間が開けてホールのような広い場所に着いた。そこにはたくさんの死神カラスと従者達がい…

4.黒の少女

「がっ…ぺ…?」突然頭から何かが叩きつけられゲゼルの頭部が激しく歪んだ。少女が振り下ろしたハンマーがゲゼルの頭に落ちていた。「うぎゃあああぁ!いでぇ!いでぇーっ!」ゲゼルが緑色の血を吐き悶絶しながらのたうち回る。少女は糸を引きちぎりゲゼルに…

3.黒の少女

目が覚めると視界に飛び込んできたのは青い空だった。白い雲がゆっくりと流れていた。そこはどこかで見たような景色だった。懐かしいような気もしたが、思い出そうとすると目眩が襲ってきた。「これは…何だ?」少女は立ち上がる。全身黒い衣装に包まれ、袖や…

2.黒の少女

翌日の朝には昨日起きた事を忘れるように努めて玄関の扉を開けた。すぐに視界の中にカラスの姿を捉える。「カラスさん!オハヨー!」未来はいつものようにカラスに挨拶すると後ろを振り向いた。「おねえちゃん!早いよぅ!」弟の啓登が後ろから駆けてくる。「…

1.黒の少女

「行ってきまーす!」少女が元気良く家の玄関を飛び出した。ツインテールに結んだ黒く艶やかな髪は風にサラサラとなびき、その足取りは軽やかだった。体よりやや大きめのランドセルが揺れている。加藤未来(みく)9歳。明るい性格で二つ下の弟を可愛がってい…

21.羆

眠っているシュクレンの傍に寄り添うキリコの姿があった。「疲れて眠ってるのね。よく頑張ったわね!」「キリコもよく耐えたわね?何度も飛び出そうとして抑えるのも大変だったけど?」ノスタルジアの言葉にキリコは口を尖らせる。「だってあたいだったらあん…

20.羆

羆の体からも光の粒が上がると小さくなりガラス玉のような魂が残った。するとクロウの大鎌がそこに落ちていた。すっかり小さくなり草刈り鎌のようになっている。「クロウ!」シュクレンは慌てて鎌を拾うと鎌の変化が解けてカラスの姿になる。「クロウ!」再び…

19.羆

「おい!大丈夫か!?生きてるか!?」武三は軽くシュクレンの頬を叩く。「あ…武三…?」シュクレンが声を発すると武三は安心したようにため息をついた。「ふぅ、無事だったか」「あ…雪崩…」周囲を見渡すと雪原がどこまでも続いていた。「村落まで流れ落ち…

18.羆

「このくたばり損ないがァっ!!」武三は銃に弾を込めて素早く構えた。しかし、その手は震えている。「くそ!こんな時にアル中とはな!!ちくしょう!!」羆は食いかけの男の体を無造作に放り投げ、凄まじい勢いで迫ってくる。「ちくしょう!!」その時、シュ…

17.羆

「…私が…囮になる…」シュクレンの申し出に男達二人は安堵の表情を浮かべる。「大丈夫か?」武三は目を細めシュクレンを睨むように見ると大きく息を吸った。シュクレンが頷くと武三は銃に弾を込める。「もし俺が狙撃を失敗した場合、お前の命は無い…」武三…

16.羆

「うぅ…」家屋の崩落に巻き込まれ怪我をしている者が二人いた。「武三…早く助けねぇと」「いや、酷なようだが動ける者は俺についてこい!この状況じゃ助けている内に俺達の体力まで奪われちまう。それに助けた所で助かるような傷じゃねぇ…」家の柱に足が挟…

15.羆

男達はいつの間にか寝息を立てていた。武三は座って銃を体に立てかけたまま目を瞑っている。シュクレンは立ち上がり窓から外を見る。まだ真っ暗で何も見えない。「…クロウ…」その名を小さく呟くが雪が真横に飛んでいくだけだった。無力感を感じていた。クロ…