20.羆

羆の体からも光の粒が上がると小さくなりガラス玉のような魂が残った。
するとクロウの大鎌がそこに落ちていた。すっかり小さくなり草刈り鎌のようになっている。
「クロウ!」
シュクレンは慌てて鎌を拾うと鎌の変化が解けてカラスの姿になる。
「クロウ!」
再び声をかけるとクロウは目を覚ます。
「おっ!?シュクレン!?お前…無事だったのか!?」
シュクレンは何も言わずにクロウを抱き締めた。
「お、お前…どうやって帰ってこれたんだ!?」
「武三が…武三が助けてくれた!」
「タケゾウ?ああ、あのマタギか…不浄が…不浄を倒した?そんな事が…?」
クロウは暫く考える。そして目を丸く見開いた。
「お前…凄い事をしたぞ!?不浄セカイの理をぶっ壊しやがった!!」
「…え?」
「本来不浄セカイは不浄の妄想が作り出した自分勝手なセカイなんだ。それを不浄自らが終わらせる事が出来るとなると一大事だぞ!!」
クロウは興奮しながら話すがシュクレンは袋に入ったデューンの魂を差し出す。
「…これ」
「ん?なんだそりゃ?誰の魂だ?」
「…デューン…ソウルイーターの」
袋に入ったデューンの魂はまだ光を保って淡く光っていた。
「ソウルイーターがやられたのか…ますますお前が戻ってこれたのが不思議だぜ…」
「…クロウ…デューンの魂…浄化させて」
「あ?それは可能だが…一体どうしたってんだ?」
クロウはデューンの魂を受け取る。
「…ブラックが言ってた…浄化すればまた…死神になれるって」
「ブラックか…よりによってアイツに仕えるとはな。不憫な奴だぜ!まぁ、シュクレンを助けてもらったし浄化の儀は通してやるぜ!ただ、こいつが再び死神に戻りたいかは別だがな!」
クロウは魂が入った袋を首にかけると翼を広げる。
「それと…今回はすまなかったな…俺様とした事が不覚を取っちまった。お前に散々怖い思いをさせちまったな…」
「…ううん、平気…私…クロウが無事でよかった…本当に…心配したんだから」
シュクレンは大粒の涙をこぼし、今まで堪えていた感情が一気に溢れてきた。しまいには顔をくしゃくしゃにして泣き始めた。
「おいおい!どうしちまったんだ!?その…なんか恥ずかしいじゃねぇか!」
「うう…クロウ…私、笑えてた…夢の中で」
シュクレンは涙を拭う。
「…そうか、良かったな」
クロウは短くそれだけ言うと翼を羽ばたかせ空に飛ぶ。
「シュクレン!次の仕事も結構ハードだ!今の内に眠って体力を回復させておけ!わかったな!」
「…うん、わかった」
クロウは何度かシュクレンの周りを飛ぶとデスドアの闇夜に消えていった。

シュクレンは武三の顔を思い出していた。
「武三…笑ってた…私も…いつかは…笑えるのかな」
横になり猫のように丸くなって眠った。