10.学校

「シュクレンは死神になってまだ日が浅いんだ。経験もまだ足りない。そして俺様もまだシュクレンの能力を把握しきれていない。今回の敗因は全て俺様の責任だ…申し訳ない…チャラ娘の言うことももっともな意見だ…」
クロウは素直に過失を認め頭を下げた。

「まぁ、従者の代わりはいくらでもいるでしょうけどねぇ?」
ノスタルジアがキリコを見る。
「あたいにとってシュクレンはオンリーワンなの!」
キリコが頬を膨らませながら言う。

学校が砂のように崩れ去り再び瓦礫が散らばる荒涼としたデスドアの世界が広がった。
コレクションになっていた死神たちの魂が幾つも転がっている。
「あの不浄の魂はあげるけどこっちは私達が貰うわね!」
「ちっ…しゃーねぇな。全部持っていけ」
「当然の対価だわ!」
ノスタルジアは魂を転がして集め始めた。
「少し…休む…」
シュクレンはそう言うとキリコの腕の中で寝息を立て始めた。
キリコは微笑むとシュクレンを抱き締めた。
「おつかれさま…ゆっくりお休み」

ノスタルジアとクロウが見つめ合う。

「お前の相棒ってアレか?」
「あら?このデスドアには愛情なんて関係ないのよ?そもそも愛し合うなんて不毛な事なんてこのデスドアには存在しないのだから。キリコは特別なのよ。あの子は魂の力がとても強かったの。だから死神の契約をしても全ての感情を無くす事は出来なかったのよ。きっと生前の記憶がまだ根付いているのね。それが仕事の足枷にならなきゃいいけど」
「だからあんなに力を持て余しているのか。強い力は己を助けるが同じように己を滅ぼす時がある。そこんところお前がきちんと監視してやらねーとな!」
「まだまだ私達のお守りが必要なのよ。あなたも私も」
ノスタルジアはそう言うとキリコの下へ飛んで行った。
「お守りか…」

ノスタルジアがキリコの肩に留まる。
「キリコ!随分ご機嫌だわね!あなたのそういう顔は久しぶりに見たわ!さてはこの娘のこと…」
「あのねぇ、あたいはそういうんじゃないの!この子ならきっと変えてくれそうな気がするのよね!」
「何を?」
ノスタルジアが首を傾げる。

「まだ秘密なのだ!あたいも疲れたわぁ…休暇が欲しいなぁ~!」
キリコはシュクレンの頭に頬を擦り付ける。クロウとノスタルジアは顔を見合わせた。

「ふぅ、やれやれだな…。まぁ、この傷じゃ回復まで時間がかかるからな。俺様は次の仕事を探すからそれまでゆっくり休んでな!シュクレン、またな!」
クロウは闇の中に飛び去った。

「キリコ!あなたも働き詰めだったわね。次のお仕事まで少し休みなさい。その死神ちゃんともこの広大なデスドアで遭遇する機会も少ないのだから今を楽しむといいわ!」
ノスタルジアもクロウの後を追い飛び去った。
「ノスタルジア!ありがとう!!」
キリコは飛び去るノスタルジアに手を振った。

このセカイにはまだまだ迷える魂が存在する。

 

終わり

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