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3.鋼鉄の処女

突然鳴り響いた鐘の音に驚き飛び起きた。テレッサが慌ただしく部屋に入ってきてシュクレンを乱暴に揺さぶる。「起きなさい!早く!」シュクレンは目を覚ますが頭がぼーっとしていた。目を擦りながら1階に降りていくとテレッサは泥をシュクレンに浴びせた。「…

2.鋼鉄の処女

夜になると昼間の喧騒とはうってかわり街は冬の空気のように冷たく張り詰めていた。「痛ぁ…」リスティは昼間にテレッサに叩かれた顔に軟膏を塗っていた。「どうして…叩かれたの?」シュクレンが問うとリスティは少し間をおき考える。「ん…お母さんの言うこ…

1.鋼鉄の処女

魂は終わりの無い旅を続け、想いの力は永遠に朽ちる事はない。その強すぎる想いは形となり、妄想を現実にした不浄セカイを生み出す。突如として闇から光が爆発すると多くの人達が行き交う街の通りにいた。溢れるように人が押し寄せシュクレンはもみくちゃにさ…

7.ガラスの心

「…キリコ、待って…」シュクレンが前に立ち制止する。「な、何よ?」ワニに近づき手を差し伸べる。ワニはしばらく動かずにシュクレンの手をみつめていた。「…もう棄てない…大切に届ける…」(生きたかった…もっと生きたかった…)ワニの言葉にシュクレン…

6.ガラスの心

キリコはワニに連続攻撃を叩き込むが一向にダメージを与える事が出来ない。「こんなに堅いの初めてよーっ!」いくら突いても叩いても傷もつかない。ワニの攻撃を寸前で躱しすぐに攻撃を加える。シュクレンは戦い慣れているキリコの体捌きを美しく感じていた。…

5.ガラスの心

シュクレンは倒れたまま動けなかった。クロウが何かを叫んでいるが耳鳴りがしてまるで聞き取れない。目の前が暗くなり意識が少しずつ薄れていった。キリコはシュクレンを見ながら槍を構える。「やっぱり立てないようね…こうなったら問答無用即殺あるのみだわ…

4.ガラスの心

「うぅーっ!ゾクゾクするわぁ!」キリコが突然満面の笑みで震えだす。「……」シュクレンがそれを見て不思議に思った。どうして笑っているのだろう?どうして笑えるのだろう?と。「あたいってさ、このセカイじゃ絶対無敵最強の死神なのよ!だからさぁ退屈し…

3.ガラスの心

水から飛び出してきた黒い塊は身をよじらせると勢いよくその体躯を床に叩きつけた。轟音と振動が水路全体を揺らした。「なぁっ!?ちょ…待って!?」キリコがシュクレンの前を手で遮る。黒い塊が蠢きランプの灯りに照らされる。その姿は巨大なワニだった。「…

2.ガラスの心

口の中へ飴を入れると甘みが広がり舌がピリピリとした。それはどこか懐かしいような味だったが思い出せなかった。「どう?美味しい?」キリコが笑顔でシュクレンに聞く。「…うん。美味しい…」シュクレンの答えにキリコは何度も頷いた。そして、クロウの方を…

1.ガラスの心

強い未練を残した不浄の魂は強い想いの力で自らの妄想を形にして不浄セカイを作り出す。その多くは生前の世界そのままを再現されるが時に歪んだ形で現れる。地上には大都市があるであろう迷路のように入り組んだ古い下水道の中を歩いていく。鼻につく強烈な腐…

9.夏の思い出

シュクレンは転がっている亮太の魂を取り袋へと詰める。それはまだ温かくほのかに光を放っていた。「…このまま…ここで暮らさせてた方が…良かった?」シュクレンの蒼い瞳がクロウを見つめる。「おい!俺達の仕事は不浄の魂を回収する事だ!仕事に間違いも正…

8.夏の思い出

「許さないっ!!うがぁぁぁぁっ!!」2人はもつれるように地面に倒れると弾かれるように離れた。体勢を整え大きく振りかぶり地面を蹴って加速し大鎌を水平に振る。亮太はそれを寸前で体を捻り躱す。「シュクレン!スピードは奴が上だ!追いつかないぞ!」ク…