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1.紅い死の微笑み

魂は終わりのない物語を紡ぎ出し、その中で永遠に生きようとする。我欲のままに都合の良い夢を見て魂は腐っていく。それが死を狩る者の手によって儚くも消えゆくものだとしても。渓谷に築き上げられた町には多くの労働者が行き交う。その多くは石炭や粉塵にま…

4.ひとときの休日

「好きだから!あたいシュクレンの事大好きだから!だから何でもしてあげたくなるの!もっと仲良くなっていろいろ知りたいわ!」キリコはシュクレンの両肩を掴み笑顔で答える。…ドクン(あんたなんか産まなきゃよかった)…ドクン(死ねバーカ!)…ドクン(…

3.ひとときの休日

テーブルには様々な形や色のクッキーやケーキが並べられた。「うん!上出来上出来!」キリコはそれらを見て満足そうに何度も頷いている。「シュクレン、珈琲の淹れ方は"の"の字を描くようにゆっくりとお湯を注ぐのよ」キリコは立ち上る香りに顔をほころばせ…

2.ひとときの休日

「…なんか…変」シュクレンがボソリと呟く。「ふぇ?ふぁひは?(へ?何が?)」既にキリコは口一杯に食べ物を詰め込んでる。「…」返答に困りぼんやりとキリコを見つめる。キリコは口の中のものを飲み込むと微笑んだ。鳶色の瞳がシュクレンを見つめる。「シ…

1.ひとときの休日

ドクン…(お前なんか産まなきゃよかった)ドクン…(死ね!バーカ!)ドクン…(親にも見捨てられたって…)突然眩しい光に目を覚ます。そこは光溢れる部屋だった。そして柔らかいベッドの中にいた。「…ここは?」頬に突然何かがへばりついた。「うぁっ!?…

10.学校

「シュクレンは死神になってまだ日が浅いんだ。経験もまだ足りない。そして俺様もまだシュクレンの能力を把握しきれていない。今回の敗因は全て俺様の責任だ…申し訳ない…チャラ娘の言うことももっともな意見だ…」クロウは素直に過失を認め頭を下げた。「ま…

9.学校

「焼きそばパン…一緒に食べた」加奈は拍子抜けした表情をする。そして小さくため息を吐くと元の姿へと戻った。小刻みに体が震えている。「ねぇ、あたしってどうして生まれてきたのかな…どうして死ななきゃいけなかったのかな…どこにも…居場所がない…ここ…

8.学校

「キリコ!そろそろお遊びはおしまいよ!追い詰められた不浄は何をするかわからないわ!早くカタをつけるわよ!!」ノスタルジアはキリコの周りを飛び回る。「ノスタルジアーッ!」キリコが右手を差し出すとノスタルジアが白金の槍へと姿を変える。「そうね!…

7.学校

それは記憶なのか幻想なのかわからなかった。痛みによる混乱なのか、或いは失われたはずの記憶が蘇ってきたのは定かではない。しかし、それはあまりにも鮮明で現実的だったのだ。「ねぇ、あたしって遺書残して自殺しちゃった方が良かった?そうしたらあたしを…

6.学校

「あたしへの虐めはなかった事になった。不慮の事故で大怪我をした事になったの。由緒正しき進学校でイジメなんてあってならない事だったから!学校も必死に隠蔽工作したみたい。もちろんあたしを虐めた生徒達は罪に問われる事はなかった…今でも平然と生きて…

5.学校

廊下を壁にぶつかりながら走って進む。「…階段は…」すると突然後ろから重いものがぶつかり床に伏せられた。さっきの女生徒達だ。「あんたよく友達もいない学校に来れるわね?」「貧乏人のくせに!」シュクレンの背中に煙草の火が押し付けられる。「ああああ…

4.学校

「絶望しかなくても自分を保っていられる。学校に居るだけで、頑張ってこれた自分を肯定できる場所なの」「…うん。加奈…頑張った…すごく」シュクレンの言葉に加奈は感極まった様子で抱きつく。「…加奈?」「ここはあたしの居場所なんだよ。これからもずー…