月: 2021年3月

鹽竈神社の階段に立ち向かえ!

日曜日に支那そばや石巻で昼食を済ませた後に塩竈に向かった。

本当は石巻のあゆみの公園でワークアウトをしたかったのだが大変な人出で駐車場も満車だったので諦めた。

そこで思い出したのが塩竈だ。

(そういえばまだ初詣してなかったな…)

とふと思い立ったので鹽竈(しおがま)神社へと向かった。

だが普通に神社に向かったのでは面白くない。北浜から歩くことにした。

 

北浜は階段の街だ。至る所に階段があって複雑な道を構成している。
建物は見えているのだが行き方がわからないなんてことはざらにある。

体を慣らすためにいくつもの階段を上ることにした。

だが気を付けなければならないのは不用意に上がっていくと他人様のお庭に出てしまうこともあるので注意しなければならないのだ。
なんの用事もないのに私有地に立ち入るのは明らかに不審者だ。

そういうわけで注意しながら歩く。

面白そうな階段を発見。手すりがうねうねしてて面白いな!

段に合わせているわけか。
これは良いような悪いような…なんか手すりとしては使いづらいような気がする。

いくつかの階段を利用して迷路のように入り組んだ狭い道を歩く。
この高低差が意外と膝に来る。上る時は一気に下る時はゆっくりと。

全く舗装されてない裏道や

雑な作りの階段を上っていく。


階段の途中に鳥居があったりとなかなかの異世界チックな景色が…。

宮町に抜けると重なる建物が。どうやってあそこに行くのだろう?と歩いていくワクワク感は堪らない。

これまた知らない道。初めて来た。

古い階段や古い建物の間を抜けていく。

急勾配で狭い道は面白い。転んでしないように慎重に歩いていく。
細路地からメインの道路に出て丹六園の脇を通る。これは文化財として指定されている。
『志ほがま』という銘菓を作っているのだが実は食べたことが無い…機会があれば食べてみたいものだ。

さて、鹽竈神社に到着したがここまで結構歩いてきた。体力も消耗している。

目の前には長い階段が存在していた。なんというラスボス感…。

私は毎日毎日10km近く走って鍛えてきた。
一分もかからず上りきれるのではないか?
香川の金比羅山だって休憩無しで上りきれたのだ。それもインフルエンザを発症しつつある状態で!

体も温まっている。
呼吸を整え地面を蹴りスタートした。

ストライドを大きくして反動をつけ体を前へ前へと繰り出す。
たちまち中心部まで到達。まだ30秒もかかってないはずだ。

しかし、まだいけると思っていたのだが急に体が重くなり動かなくなった。膝を支えないと上がっていけない…こんなはずじゃ…。
残り三分の一はおじいちゃんのようになってゆっくり上るはめになってしまった。

体力を消耗し過ぎていた事もあるが坐骨神経痛もあったのでベストコンディションではなかった。それにしたってもっと上へ行けた気がする。

こんなヤワだったの?と愕然とした。

結局タイムは1分30秒…。

この時私は思った。

今年は30秒で上りきれるくらいになりたいと。
もっと頑張ろう…。

定義山の三角油揚げを食べに行こう!

宮城県民なら誰もが行ったことがあるあの場所へと足を運ぶことにした。

仙台西道路を走り向かったのは定義山(じょうぎさん)である。
ここは有名で宮城県民はある目的のために遥々遠くからでも訪れるのである。

それは

『三角油揚げ』です。

分厚い三角の形した油揚げである。何の変哲もない油揚げと思いきや揚げたて熱々が食べられるのだから大人気で日曜日ともなると店の前に長蛇の列が出来るほど。

西方寺というお寺が奥にあるのだが参拝のついでに油揚げを食べるのではなく油揚げを食べるついでに参拝するのが常な気がする…。
私もその1人だ。

この辺は雪が少ない宮城県でも豪雪地帯で1mぐらい雪が積もっていたと思う。こなり解けていたが片隅には山のように雪が積まれていた。


駐車場に車を停めて颯爽と向かうのは

『定義とうふ店』

ここで三角油揚げを買うことが出来る。

ソーシャルディスタンスで並んでいたらおばちゃん2人組に割り込まれてしまった…余りにも空間を取りすぎたかもしれない…。でもさほど並ぶ訳でもないしことを荒立てることもあるまいと大人しく並んで購入。

外の年季の入った汚いテーブルに置かれている七味唐辛子と醤油をかけて食べるのだ。

実はこの醤油は油揚げ専用醤油で特別に油揚げに合うように作られたものだ。
たからお土産用を買って家で食べるとちょっと違うと思うのはこのかけ醤油がないからだ。

家のキッコーマンの醤油では現地で食べるような旨味は得られないのだ。
ぜひ一本買うことをおすすめするが、今度は油揚げ以外にはなかなかマッチングしないのだ。独特の甘みがあるせいなのか目玉焼きにも合わない気がする…。

さて、揚げたてサクサクをいただきましょう。

余談だが私はこの揚げたて熱々を食べると高確率で口の中の上の方が荒れてしまうのだ。
なぜかはわからない…。多分体質だろう。でも美味しいから食べるのだ。

表面はサクサクしてて噛むと中からジュワッと熱い汁が出てくる。美味しい!

この現地で食べるのが堪らないね~。

飲み物は何にしようかな?

たちまち完食すると近くのやきめし屋に並ぶ。これまた定義山に来たら外せないものだ。

通常のやきめしとニンニク味噌がある。どれにしようかなぁ…と悩んでソーシャルディスタンスで並んでいると先程のおばちゃん2人組がまたもや私の前に割り込んだではないか!?

こんのクソBBA!!とか思ったがやきめしは速攻諦めた…なんかもう面倒くさくなってしまった。

立派な山門があり、結構参拝している方が多い。

道路向かいには五重の塔があったりと文化的なものに触れることが出来る。

なんか良いなぁ…この時間…。毎日毎日せかせかと労働していると雲が流れるのを眺める時間でさえ愛おしく感じてしまう。

普段はどれだけ視野を狭くして生きているかって話。

帰りは大倉ダムを観光して帰路につく。

いやぁ、それにしても高い…足が竦んでしまうね。

スーパープラチナプレミアムダイヤモンド日曜日は支那そばやで始まるのだ!

今日はスーパープラチナプレミアムダイヤモンド日曜日である。

私はド底辺労働者だ。日曜日しか休みがない。その日曜日すら無くなって2週3週連勤になることもざらにある。

手当も付かない名ばかり管理を任され何十年と突っ走ってきたが精神は壊れ体もボロボロ…おまけに大きくなったのは会社だけで私自身は…。

そんなわけで日曜日は大いに満喫するのだ。何人たりとも私の日曜日を邪魔することは許されない。

それが例え聖帝サウザーだとしても目の前に現れたならばボコボコにしてやるだろう。

朝起きてまずは超面倒くさい確定申告書類の整理を始める。

いつになったらAIが勝手にやってくれる時代になるのだ。

家の中を右往左往しながら書類をかき集めて作成準備に取りかかる。
最高の日曜日がこんな雑務に追われるなんて…平日にやればいいじゃないかなんて思われる方もいらっしゃるかもしれないが私の最低労働拘束時間は12時間だ。そこからさらに職場が遠方になれば15時間超えもある。

家に帰って食事入浴したら寝る時間である。とてもやる暇はない。

それどころか私は住友生命のバイタリティを契約している。
決められた歩数に応じてポイントが貯まり保険料が安くなるという一見お得な保険に思えるが歩かないと保険料が割増になってしまうのだ。

しかもだ。これにはトラップがあってクソゴミみたいなアプリを入れて月額880円も払うのだがこいつは単体で歩数をカウントしない。他に歩数計アプリをインストールしなければならないのだ。

その他の歩数計アプリはなかなか歩数をカウントしないのだ。
スマホのウィジェット歩数計の約半分しかカウントしない…。

なので目標歩数に達するには家に帰ってから1時間40分歩くなり走らねばならないのだ。

こんな無理ゲーな生命保険あるかって話だ。

それに万が一怪我して入院したら保険料が上がるじゃないか?

住友生命は他の保険会社に比べて割高なのでこれを機に考えてしまうな。

そんなイライラを抱えながら車を走らせ向かったのは
『支那そばや石巻』さんである。

もうMPVでしょう!昨年12月から毎週訪れているのだ。

注文したのはいつもの『かけラーメン』である。
でも今日はこれにメンマをトッピングしてみた。

店は開店と同時に満席。これは嬉しいね。閑散としているよりも安心感がある。
二代目店主は手際よくラーメンを作るので着丼までが早い!

トッピングは別皿でくれる気の遣いよう。

「これどうぞ!」
二代目店主から味玉のサービスが!これはありがとうございます。本当に嬉しい。

ここの味玉は濃厚で美味しいのだ。

まずは何も入れない状態のスープを一口。

うむ、今日も最高の出来映え。口の中に流し入れた瞬間に多様な香りが鼻腔の中に広がる。

麺は上げやすい細麺ストレート。
これは佐野流と呼ばれる製麺法で細麺ながらも絶妙にスープを絡ませて抜群の喉越しを実現している。

それからメンマを投入。結構な量だ。

まずはメンマを一口。歯応えはしっかりして下味も濃いめに付いている。

だがメンマを入れた事でスープがやや甘味を帯びてしまった。味はより一層濃くなる。

なるほど。こんなにも具の影響を受けてしまうのだ。
チャーシューからは脂が出てくる。

おそらくは全て入って完成された味なのだろうが私はやはりシンプルなかけラーメンが好きだ。

あのスープの前ではどんな具材も脇役でしかない。その自己主張が強ければ強いほど排除したくなってしまう。

メンマは決して不味いわけではない。このまま酒のアテでいただきたい程にしっかりした味わいがある。
だからこそ繊細なスープの味を鈍らせてしまう。

主役は二人も要らないのだ。

ここまで来るとネギも抜いてしまおうかと思ってしまうくらいだが私はネギが好きなので難しいところだ。

あっという間に完食完飲!!

丼をテーブルに置くと思わず膝を叩いた。
最高の一杯だった。

これを文字で表すのは今の私には難しい。
だがこれはまだ私がまだガキだった頃に抱いていた佐野実氏との軋轢が埋まった証だろう。

テレビで観た佐野実氏はおっかないおじさんだった。弟子を怒鳴りつけスープをひっくり返す。そんな酷いことをする奴が作るラーメンなんて美味しいわけがないと思っていたのだ。

私がまだ若い頃に石巻に支那そばやがオープンしたと聞いて「どれ!偉そうなこと言ってる奴のラーメンを食ってやる!」と鼻息を荒くしていた。

当時、私は熱いものを食べると鼻血が出るという特異な体質だったのだが、その日もやはり熱いラーメンを啜ったと同時に鼻血が出た。みるみるスープが赤くなる。これはまずいと鼻にティッシュをあてがいながらも食べたが完食ならずに店を後にした。

悔しかった…味も香りもわからなかった。なぜ鼻血が出るのかはわからん。

「お前にはまだ俺のラーメンを食うのは早い!帰れ!」と佐野実氏に言われた気がした。
あれから三度食べたが三度とも鼻血によって断念した。

結局諦めてあれから長い年月が過ぎた。

あのまま忘却の彼方に追いやられるのだろうと思っていたがたまたま観たニュースで佐野実氏の訃報が伝えられた。

「そっか…佐野さん亡くなったか…」
あくまで私はその程度の感情しかなかった。

その時には既に支那そばや石巻は店主の体調不良から縮小営業の形をとっており日曜日は定休日となったことからますます食べる機会は奪われていった。
あのまま食べる事無く私の記憶の中では鼻血味のラーメンとしか思い出せなくなっていた。

だが私が初めてテレビで観たあの頃の佐野実氏と同じ年齢に達してからわかったのだ。
仕事に対する気持ちの入れよう、心構え、こだわりがわかったのだ。

それは生半可なものでは到底到達出来ない高みだったのだ。
いつしか私の中で佐野実氏の存在が大きくなっていった。

そしてふと棚ぼた的に得た休暇が平日でたまたま営業日だったので数年ぶりに行ってみたのだ。
その時先代店主がラーメンを作っている脇で眺めている青年がいた。

まさに後の二代目店主である。

期待を膨らませつつ着丼を待つ。厨房を見下ろすように飾られた佐野実氏の写真が妙な圧迫感を与えていた。
相変わらず怖いおじさんである。

そして配膳されたラーメンはあの頃のままだった。

スープを一口飲むと初めてその味がわかったのだ。

もうその時は熱いものを食べると鼻血が出る体質は改善されていた。

人間は何事も初めての体験は感動するものだ。大人になると初めて体験する機会が少なくなる。そして新しい挑戦を拒むようになる。これは過去の失敗経験が大きな要因かもしれない。だから人生が退屈に感じてしまうのかもしれない。

麺を啜り、喉に流し込むと空っぽだった体の中に血液が一気に流れ出たのではないかと思うくらいに痺れた。

これは美味い!なんて美味しいのだろう…….。

汚れでややくすんでしまった佐野実氏の写真を見上げる。
「どうだ!俺のラーメンは美味いだろう!」

そう言ってる気がしたのだ。
私はこのラーメンが美味しいと思うまでにどれほど長い年月を費やしたのだろうか。

感動に打ち震え店を出た。

後にあの青年が二代目店主となり店は通常営業となり復活したのだ。

あれから佐野実氏のラーメンは受け継がれ多くの人達を幸せにしている。

佐野実氏はテレビに出てラーメンの鬼というキャラクターを演じたがためにアンチが増えて執拗な嫌がらせもあったと聞く。
それで精神的にも肉体的にも大きな負担があったと思う。
その苦労は私は想像し難いが佐野実氏が今のラーメン業界に与えた影響は大きい。

たかがラーメンをされどラーメンに昇華させ、その理想のラーメンを作るために人生を捧げた佐野実氏。

叶わぬ願いだが、今の時代に佐野実氏が生きていたら百花繚乱な今のラーメン業界をどんなに喜んだことだろうか。きっといろいろ食べ歩いてもっと美味しいラーメンを作ろうと意気込んだに違いない。

理想の追究に対して彼の人生はあまりにも短過ぎた気がするのだ。

だがその理想は弟子に受け継がれ、そのまた弟子に受け継がれて味を継承していく。

ラーメン店経営は気力と体力が必要だ。
二代目店主さんには体に気を付けて頑張ってもらいたい。

また食べに行こう!