仙台の路地の途中にある小さな喫茶店。ひっそりとした場所に佇むその建物は異彩を放っている。
夜になれば柔らかな光が灯り、緩やかな時が流れる。仄かに香る珈琲の匂い。レトロで時間を忘れてきたのではないかと思う調度品。たくさんの人が共に時間を過ごしたであろう店内には数々の思い出が溢れているようなノートが置いてある。
今という時間は一瞬で過去のものになっていくのだ。
人生で当たり前のように過ごしてきた時間は決して戻ることの儚さであることをあの頃に知るべきだったのかもそれない。
あの頃の君に会いたいというのは贅沢だろうか。何もかも変わってしまった今はただの日常でさえも重く辛くしてしまう。
君は誰かの傍らで微笑んでいるのだろうか。